2022.03.25 政務活動費
第3回 政務活動費による広報費の支出③
9 後援会宛の領収書の取扱い
会派又は議員に交付されている政務活動費の支出に伴い、その領収書の宛名が後援会宛の場合、支出が可能かどうか疑義が生じる。
政務活動費の交付がなされたのは会派又は議員であることから、会派名又は議員名を領収書の宛名とすることは自明の理であり、政党名や後援会名を領収書の宛名とすることは許されないものであると考えられ、令和2年6月25日東京高判でもその旨の判示がなされている。
【東京高判令和2年6月25日】
領収書の宛名が後援会になっているものについては、議員が実際に支出していないことを推認させることは前記のとおりであり、宛名が政党の支部になっているものについては、議員が実際に支出していないことを推認させるのみならず、政党活動の経費であって、政務調査活動と関連しないことが推認されるものである。この点、被告は、領収書の宛名をもって使途を認めることはできないことや、使用実態として、政務調査活動にも使用していたと認められる場合に、按分によって政務調査費から支出することを認めた旨を主張するが、議員が実際に支出したことの裏付けを何ら主張・立証しないから、違法な支出であると認めるほかない。
ただし、領収書の宛名に政党名だけでなく議員の個人名も記載されている場合には、議員個人が支出したものであると認められるため、政務活動費からの支出が認められる場合もあると考えられ、東京高判令和2年6月25日でも同様の考えが示されている。
【東京高判令和2年6月25日】
領収書の宛名に、自由民主党の支部名に加えて議員名の記載があるものは、議員個人が支出したことがうかがわれ、原告は、一般的、外形的事実を主張・立証しないから、違法な支出であると認められない。