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2022.01.28 医療・福祉

第3回 「科学的介護」は介護の生産性を上げられるか?

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 医療と介護の大きな違い  

 では、蓄積されているデータが1年、2年、3年と増え続け、分析するには十分な量に達すれば、有用なフィードバックがなされるシステムとなるでしょうか。残念ながらそうは思えません。介護施設においてならまだしも、一般家庭での介護においては、かなり悲観的に考えています。  
 その最大の理由は、「科学的介護」という名称のとおり、老人介護を科学的にとらえようとしている点に尽きます。  
 というのも、一般的には、科学的手法が成立する要件として、実証性、再現性、客観性が重要とされています。この中の特に「客観性」という概念がスタート地点だと思います。  
 ですから、LIFEシステムでも、高齢者の客観的なデータを集めて、それを分析し、再現性の高い解答をフィードバックしていくというコンセプトです。そのために、介護サービス事業者がシステムに入力するデータも、老人が「一人で歩けるか」、「食事は自分で食べられるか」、「コミュニケーションは問題ないか」、「〇〇の意欲はあるか」といった客観的なデータばかりが集められています。  
 このようなデータを蓄積し、それを根拠(=エビデンス)とする手法は近年、医療が健康を管理する上で採用してきたもので、病院の中や施設といった、ある程度、閉ざされた条件の下では、うまくいくでしょう。  
 同じような健康状態の老人に対して、同じような条件下で、同じような内容のケアを提供すれば、同じような結果が期待できる。つまり、「実証性」も「再現性」もある、「科学的な介護が成立する可能性が高い」といえるでしょう。  
 しかし、老人が生活する家は、病院とは違います。病院のように、老人が家族や知人や友人と切り離され、地域の人間関係からも切り離され、過去の記憶や習慣といった「自分」とさえも切り離された空間と、介護が行われる生活空間は違います。病院では、バリアフリーな部屋、画一的な環境、画一的な食事や人間関係が整いますが、老人が暮らす家は、それとは程遠いことが多いのです。ごみ屋敷のような家もあれば、虐待のような介護を行う家庭もあったりします。不確定な要素がいっぱいであり、不確実性に満ち満ちているのが「介護」です。

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