2022.01.14 コンプライアンス
第28回 未成年者による選挙への関与
解説2 その他の注意事項
1 文書図画の頒布禁止(法142条)
例えば、友人知人等が主張や人物の参考にしたいなどといって候補者の名刺や使用済みの2連ポスター等を欲しがったときに、これを渡してしまうと、法142条の禁止する文書図画の頒布に抵触する可能性があります。選挙運動における頒布可能な文書図画は限定されているため、要望されても選挙運動期間中に配ってはいけません。
2 署名運動の禁止(法138条の2)
ある政策を実現させるため、署名運動を行って機運を高め社会に訴えかけることもよく行われています。このこと自体は直ちに選挙運動に当たるものではありません。
しかし、署名運動について、特定の選挙において当該政策を主張している候補者がおり、署名運動が実質的にその者への投票を促すためのものである場合(他にその政策を主張・賛同する候補者がいない場合や署名対象の政策が当該候補者の看板政策である場合など)には、当該候補者への投票を得又はその他の候補者の当選を得せしめない目的が認定され、違法とされるおそれもあります。
3 人気投票の公表禁止(法138条の3)
ある選挙でどの候補者がふさわしいか、応援する候補者は誰かなどの人気投票をする場合、人気投票を行うこと自体は禁止されていないものの、その投票経過や結果を不特定又は多数の者に公表することは罰則付きで禁じられています。
この公表方法について限定はないため、SNSやホームページなどの投票機能を使って自動的に結果が表示されるようなものも含まれます。
また、この人気投票は、特定の候補者を支持ないし投票することを促す目的で行う選挙運動である必要はなく、単なる興味本位で行う場合も含まれますので、満18歳未満の者が選挙を体験してみようと「模擬選挙」と称して現実の候補者について投票を行い、その結果等を公表すると、同条違反の可能性があります。