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2021.11.10 政務活動費

政務活動費を不正受給して辞職したベテラン県議

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 野川氏は、自民党の故加藤紘一衆院議員の秘書を務めた後、1995年に県議に初当選しました。定員2人区の東根市選出で当選7回。2015年5月から2017年3月まで県議会議長を、2016年5月から2017年3月まで全国都道府県議会議長会の会長を務めています。ベテランの「大物」県議といえます。その県議の公金不正受給事件ですから反響が大きく、県議会の対処にも注目が集まるのは当然です。
 この事件は、虚偽の領収書を作成し政務活動費という公金を詐取したもので、虚偽公文書作成等の罪に当たるのではないでしょうか。議員辞職だけにとどまらず、刑法犯として起訴されるのが相当でしょう。政務調査費の時代からあった不正受給の事例がまた一つ付け加わった意味では、あるまじき議員の存在が明らかになったということであるといえます。しかし、この事件の原因を議員個人の「だらしなさ」や「不徳」に帰せしめただけでは済まないのではないかと思います。詐取をしようとしても、しにくい、あるいはできないような仕組み・手続を考える必要があるからです。
 山形県議会では、5年前の2016年にも政務活動費の不適切使用がらみで阿部賢一議員が辞職していたのです。この県議は、後援会活動に政務活動費を支出することは認められていなかったにもかかわらず、360万円余りを支出し、その指摘を受けて返還した上に、議員を辞職しました。当時、県議会では政務活動費に関する検討委員会を開催し、手引きの改正を進めましたが、その議論の中心にいたのが県議会議長であった野川氏だったのです。自分ではひそかに政務活動費を詐取しているにもかかわらず、知らん顔をして事に当たっていたのですから、相当に悪質といわざるを得ません。
 県議会は阿部議員の告発を見送りましたが、当時の野川議長は、その理由として、議員を辞職し、疑義のある約605万円の返還や政界引退の意思を示していることなどを考慮したと説明していました。今回の野川議員を県議会は告発に踏み切るかどうかです。山形県議会の坂本貴美雄議長は、NHKの取材に対して「不正の疑惑については残念で絶対にあってはならない。今回の問題は、県民から見れば議会全体の問題として思われるので、今後、政務活動費は厳格に運用していきたい」と述べています。

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