2021.10.11 医療・福祉
第2回 「自治体に忍び寄るケアマネジャー不足の危機」の巻
社会福祉士/介護福祉士/介護支援専門員/杉並地域包括支援センター管理者 本間清文
ケアマネジャーが急減している?!
トメ (しょんぼり……)
役人 どうしたんですか、トメさん、しょんぼりしちゃって?
トメ アタシの夫の担当ケアマネジャーが退職したんだよ……。介護のことで、あれこれ相談して、信頼もしていたんだけど、急に辞めちゃってね……。
役人 ケアマネジャーが急に替わることでケアプランに支障があったんですか?
トメ それは、なかったけどさ。そのケアマネさんには夫の愚痴から、倅(セガレ)夫婦に対する愚痴、果てはここでは言えないような恥ずかしいことまで相談する仲で、信頼してたんだよね……。
役人 そんな方が急に退職してショックだったわけですね。
トメ その上、新しいケアマネさんを見つけるのが大変だった……。
役人 同じ事業所の後任ケアマネさんはいなかったんですか?
トメ 採用の募集はしていたけど応募がなかったらしい。それで、地域包括支援センターに相談して、2~3か所に断られた末に、やっと見つかったんだけどね……。
役人 ケアマネさんは、1人当たりに担当できる件数の上限が35件ぐらいと決まっているから、断られる場合もありますよね。
トメ 介護保険には「選択の自由」がある、なんて聞いたことがあったけど、とても選べるような状況じゃなかったね。
役人 それはそうと、どうして元担当ケアマネさんは退職したんですか?
トメ 「書類作成にいい加減、疲れたから、介護職に戻る」って言ってたね。ケアマネさんの仕事って、そんなに大変なのかい?
役人 実は、ケアマネジャーを志す人は近年、急速に減少しています。毎年2万~3万人のケアマネジャー合格者が誕生していたのですが、平成30年度以降は多くても8,000人/年程度なんです。
トメ 試験が難しくなったのかい?
役人 いえ。合格率そのものは大きく変わっていません。受験者数が全体的に減少し、併せて合格者も減っているのです。
介護支援専門員の合格者数推移
出典:厚生労働省「第23回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00007.html)をもとに筆者作成