2021.10.11 選挙
選挙の車上等運動員がやむを得ず実費弁償の法定上限額を超えたホテルに宿泊した場合選挙運動費用収支報告書にどのように記載すればよいか/実務と理論
3 設問の検討
以上を踏まえ、設問の検討を行う。
本件については、「やむを得ず……泊まってもらった」とあることから、その支出については、出納責任者から事前承諾を得て、当 該車上等運動員が出納責任者と意思を通じてしたものであることを前提とする。
まず、当該車上等運動員の宿泊料(1万5千円)については、当該車上等運動員が自己負担した分も含めた全額を、「選挙に関する支出」として選挙運動費用収支報告書に記載すべきである。
また、当該車上等運動員の自己負担分(3千円)については、上述のとおり、「選挙運動に関する寄附」として記載すべきである。
4 おわりに
以上、選挙運動に関する支出と選挙運動費用収支報告書への記載方法について、具体的な事例を基に検討を行った。
特に選挙運動に関する支出制限の規定違反は、買収罪につながるおそれがあることから、選挙に関係する多くの人が理解を深め、法にのっとり公明かつ適正な選挙が行われることを切に願う。
また、各地方公共団体の選挙管理委員会事務局職員は、選挙に際して、選挙運動に関する収支や選挙運動費用収支報告書の記載方法について、各候補者からより具体的な質問がなされることが考えられるので、短期間のうちに適切な回答をすることができるよう、日頃よりこれらの法令の規定等について理解を深めておくことが肝要である。
本問における検討がその一助となれば幸いである。