茨城県五霞町まちづくり戦略課広報戦略グループ主幹 矢島征幸
1 はじめに
五霞町は、茨城県の西南端に位置し、四方を利根川や江戸川などの河川に囲まれ、美しい田園風景が広がるとともに、都心から50キロメートル圏内と通勤・通学にも恵まれています。また、首都圏中央連絡自動車道のインターチェンジ周辺開発を契機に新たな産業団地も形成され、地名も「ごかみらい」として、今後のさらなる発展が期待され、新たなまちづくりが加速しているまちです。
人口は、茨城県で一番少なく、令和2年国勢調査速報値では8,100人と、10年間で1,310人減となっており、高齢化率も34.3%(令和3年4月1日現在)と高い値となっています。職員数は、令和3年4月1日現在で正規職員101人と会計年度任用職員45人となっており、高度複雑化する行政業務への対応は、小規模自治体には厳しい現実となっています。
マイナンバーカードの交付率は、57.1%(令和3年7月1日現在)であり、全国市区町村でトップ10に入ります。
2 マイナンバー制度への対応経緯とマイナンバー・マイナンバーカード広報大賞
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)の公布が平成25年5月、その2か月後の7月には庁内に横断的なプロジェクトチームが立ち上がり、準備に入りました。マイナンバーの統括的な管理は企画政策部門、安全管理措置や例規関連は総務部門、マイナンバーカード関連は住民窓口部門が担い、それぞれの部門からメンバーを出してプロジェクトチームを結成し、その事務局を住民窓口部門に設置しました。多くの自治体では、新たな業務が発生した場合、どのセクションで行うかを決めるのに時間がかかります。それを短期間でできたのは、総務省が推奨していた「自治体クラウド」による事前の情報収集のおかげでした。
マイナンバー制度の準備は、プロジェクトチームが中心となり、情報収集と共有を行い、どのように対応していくかを考えました。特にマイナンバーカード業務が新たに加わることで業務量が増え、住民窓口担当者が少ない五霞町では通常業務にも影響が出ることが想定できたので、マイナンバーカードの申請及び交付について住民目線でアイデアを出し合い、実行については全庁的な応援体制で取り組むことにしました。
「マイナンバーカードを申請してもらうにはどうしたらよいか」。それを先に考えてしまうことが多々あると思います。五霞町では、五つのステップ方式を用いて、段階を決めて目的を達成することを考えました。ステップ1では、「見てもらう」、ステップ2では「知ってもらい」、ステップ3では「分かってもらう」。それから、ステップ4で「申請してもらい」、ステップ5でようやく「活用してもらう」ことになります。このステップアップが重要です。いきなり「申請してもらう」ことを考えてもうまくいきません。
ステップ1~3の見て、知って、分かってもらうでは、住民の方に定着している広報紙を使って、平成27年4月号から13回にわたって連載をしました。住民の方の目をマイナンバーに向けることを狙って、職員が手書きでつくった4コマ漫画を掲載したりもしました。