2021.08.12 ICT活用・DX
【第6回】コロナ禍における議会のICT化、「デモテック」への挑戦~茨城県取手市議会の取組み~
議会基本条例、会議規則、委員会条例を改正し、オンライン会議の体制を整備
地方議会において、地方自治法113条及び116条1項における「出席」の概念は、現に議場にいることと解されていることから、オンライン会議による本会議運営は現行法上、困難とされている。一方で、総務省は2020年4月30日に、委員会運営については、地方議会による意思決定によってオンライン化は可能との見解を出している。
そうした流れを受けて、取手市議会では、まず制度改正等、オンライン会議の体制整備に取り組んだ。5月8日、情報通信技術(ICT)を積極的に議会活動・議会運営に活用する理念を議会基本条例に加える改正案を可決。「議会は、災害の発生、感染症のまん延等、やむを得ない理由により議事堂に参集することが困難なときは、その状況に応じた情報通信技術の積極的な活用を通じ、議会活動の継続を図るものとする」と書き込まれた。
また、災害対応時のオンライン会議の根拠を明確にするため、5月21日付けで、取手市議会感染症対応規程の制定、取手市議会災害対応規程の改正を行い、オンライン会議ができる旨を規定した。
国にも現行法の改正を求めて、7月1日、高市早苗総務大臣(当時)に、「オンライン本会議の実現に必要となる地方自治法改正を求める意見書」を手渡した。大臣からは、「オンライン本会議の必要性は理解している。議員の本人確認やセキュリティ対策等クリアしなければならない課題もある。中期的な課題と捉えている」との見解を得た。
高市総務大臣に意見書提出
9月4日には、取手市議会会議規則と取手市議会委員会条例の改正案が可決された。この改正案により、災害の発生、感染症のまん延等のやむを得ない理由がある場合に、委員がオンライン会議システムにより委員会の会議に出席することを認め、会議室に集まることなく、討論と表決を除く部分について出席委員として議事に参加できることになった。
10月2日には、法令上、現状では行うことができないオンラインによる本会議ではあるが、今後も見据えて、機器やアプリケーションや運営方法の確認のためのオンライン模擬本会議にも挑戦し、実施可能になった場合に向けた課題抽出を行っている。