3 本人同意に基づく署名検証者への基本4情報の提供(公的個人認証法の一部改正)
(1)改正の趣旨・概要【資料3も参照】
署名用電子証明書は、インターネットで電子文書を送信する際などに利用され、電子文書の送信者(署名利用者)が本人であること及び電子文書が改ざんされていないことの確認ができる仕組みであり、具体的には、オンラインでの銀行口座の開設申込みなどの場面において利用されている。
署名検証者等(署名検証者及び団体署名検証者をいう。以下同じ)は、署名利用者から署名用電子証明書等の通知を受理したときは、J-LISから署名用電子証明書失効情報の提供を求めるなどして、署名用電子証明書の有効性について確認しなければならないこととされている(公的個人認証法18条1項、19条、20条)。
引越しによる住所変更など、署名利用者に係る基本4情報に変更があった場合、当該署名利用者に係る署名用電子証明書は失効する。署名検証者等は、署名検証時に限らず、随時、J-LISに対し署名用電子証明書の有効性についての照会をすることが可能な仕組みとなっており、その照会の際に署名用電子証明書が失効している旨の情報の提供があった場合は、署名利用者に住所変更等の異動があったと分かるため、本仕組みは、署名検証者等における顧客(署名利用者)管理の利便性に資するものとなっており、民間事業者が公的個人認証サービスを導入するメリットの一つとなっている。
前述のとおり、現行の仕組みでは、署名検証者等は、J-LISから署名用電子証明書が失効している旨の情報の提供を受けることで、署名利用者に異動があった旨の情報を得ることはできるが、署名利用者に係る最新の基本4情報及び署名用電子証明書の発行番号を取得することはできない。
したがって、署名検証者等が、署名利用者の最新情報を取得するには、直接本人にオンラインや電話等の手段により最新情報を照会する必要があるが、これは署名検証者等及び署名利用者双方にとって事務負担が大きい。
こうした状況を受け、経済団体等から、J-LISから署名検証者等に対する署名利用者に係る最新の基本4情報の提供が可能となるよう提言・提案がなされたところである。
この点、J-LISから署名検証者等に対し署名利用者の最新情報を提供することが可能となった場合、以下のような利点がある。
① 署名検証者等における利点
・従来、署名検証者等が署名利用者の住所等の確認に要していた事務負担が大幅に軽減される。
・署名利用者の最新情報を取得できない場合、署名利用者の所在が不明となることがあるが、こうした事態を未然に防止できるようになる。
② 署名利用者における利点
・自身の意向に基づき、J-LISが複数の署名検証者等に自身の最新情報を一括して提供することとなるため、自身が個々の署名検証者等に対して変更手続を行う手間や個々の署名検証者等からの定期的な照会に回答する手間が軽減される。
以上のような利点を踏まえ、署名検証者等及び署名利用者双方における公的個人認証サービスの利便性の向上・負担の軽減、ひいては、マイナンバーカードの利便性の向上及びマイナンバーカードの民間利用の促進を図るため、J-LISから署名検証者等に対する署名利用者に係る最新の基本4情報及び署名用電子証明書の発行番号の提供が可能となる仕組みを創設することとしたものである。
資料3
(2)施行期日
本改正は、J-LISから署名検証者等に対する署名用電子証明書記録情報の提供を可能とするOCSPレスポンダ(電子証明書が失効しているかどうかを署名検証者等からの求めに応じ個別に回答するコンピュータ)等のシステム改修の完了後に施行する必要があるところ、その時期は、令和4年度中を見込んでいることから、施行期日は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日としている。