2021.06.25 一般質問
第12回 一般質問を議会の政策資源に②「議員ひとりのもの」で閉じないルート開拓を
一般質問をめぐる取組み
さて、自治体〈政策・制度〉の議会による制御という「議会の成果」にとって、一般質問が「議員ひとりのもの」に閉じている現状はもったいない、という説明をしてきた。議会が「我がまちの〈政策・制度〉をめぐる議論のヒロバ」であり、その「成果」が生まれるためには、まず、そこに流入する〈政策・制度〉の課題=「争点」の質量が豊かになり、それが「議会として」の意思形成につながる、そうしたシクミ、ルートが整備されていくことが望ましい。一般質問は議会の政策資源として重要なものになるはずだ。
実際に、一般質問を所管事務調査にするシクミは、筆者が耳にしているだけでもすでに取り組んでいたり、取り組もうと努力していたりする自治体議会がある。北海道芽室町議会は、一般質問だけでなく議案質疑で示された論点についても委員会で「追跡」する「一般質問・質疑追跡システム」を2015年頃から整えたという。岐阜県可児市議会でも一般質問を所管事務調査にするシクミを政策形成サイクルに入れ、会派ではなく委員会代表質問を行っているという。
また、より広げて、一般質問というシステムを「議会の政策資源」として活用している議会がある。北海道別海町議会である。別海町議会では、2018年から、通告書を提出する直前の段階で、提出予定の通告書をベースに議員全員が参加して意見交換する「一般質問検討会議」を、当初は研修として、その後はシクミとして定例化した。それをきっかけに、事実上の委員会代表質問の実施、一般質問と委員会調査とのシームレスな連携が見られ、その展開を通じて議員間討議も充実してきているという。 また、こうしたシステムを規定した議会基本条例の草案が作成され、制定に向けて進んでいる。
次回以降はこの別海町議会の「議会の政策資源」としての一般質問制度の活用について、見ていきたい。