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2021.06.25 政務活動費

第1回 政務活動費による広報費の支出①

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4 議会における質問の広報誌等への掲載

 広報誌等には、会派が行う活動や地方公共団体における政策等を住民に報告すること等が条例の使途基準で規定されている。
 そのため、一般的には広報誌等に会派としての代表質問とそれに対する答弁、あるいは会派所属議員の一般質問と答弁が掲載されることは議員個人のPRを目的とする政治活動や選挙活動につながらないものとして、岡山地判平成30年1月31日のとおり政務活動費からの支出が認められるものである。

【岡山地判平成30年1月31日】
 会派所属のA議員の市政報告紙に係る印刷費であり、会派がその全額を支出したことが認められる。
 証拠によれば、上記市政報告紙は、その主要な部分をB市議会における個人質問の内容等が占めており、主として当該議員個人のPRを目的とするものと認められない。
 したがって、上記支出を違法であると認めることはできない。

 しかし、前掲・平成30年仙台高判では、議員の議会での質疑は市政に関する情報を市民に広報する側面を有する一方で、自らの議会活動、調査結果を市民に報告することによって支援者を獲得、保持するなどの政治活動、後援会活動としての側面も有するとしている。さらに、議員が所属する会派の議会における代表質問の質疑、答弁の内容を記載し、当該議員の顔写真が掲載されている場合には選挙活動等の目的も併存するとし、政務活動費からの支出に対する50%の按分率を適用している。

【仙台高判平成30年10月24日】
 A議員が発行したB市議会での質疑等が記載された「A市議会活動レポー卜」という名称の広報紙に関する作成費用として、合計30万0300円が政務調査費から支出されたことが認められる。証拠及び弁論の全趣旨によれば、上記のような議員の活動報告等が記載された広報紙を作成して市民に交付する活動は、市政に関する情報を市民に広報する側面を有するものの、一般的、外形的には、自らの議会活動、調査結果を市民に報告することによって支援者を獲得、保持するなどの政治活動、後援会活動としての側面も有すると推認される上、『A市議会活動レポート』は、A議員の挨拶文や、自身が所属する補助参加人Cの議会における代表質問の質疑・答弁を記載したものであり、当該議員の顔写真が掲載されていることも踏まえると、選挙活動等の目的も併存するといわざるを得ない。
 そうすると、上記の各支出のうち経費全体の2分の1を超える金額の合計15万0150円が、本件使途基準に合致しない違法な支出と認められ、補助参加人Cの不当利得に当たる。

 このように裁判所によっては考え方が分かれるが、質問(質疑)及び答弁の内容を記載することは議会活動の報告を住民に伝えることであるので、政務活動費から全額を支出しても問題ないと考える。


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