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2021.06.25

【セミナーレポート】変革は地方から~コロナを超える地方の知恵~

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 2021年5月20日(木)~21日(金)「第13回 日本自治創造学会研究大会」が開催されました。新型コロナ禍の状況に鑑み、今年はオンライン開催となりましたが、「変革は地方から~コロナを超える地方の知恵~」というテーマのもと、講演およびパネルディスカッションが行われ、2日間にわたる充実した大会となりました。その様子をレポートします。

コロナを契機に、新たな働き方へ

 はじめに、「コロナと闘った1年」と題し、西村康稔氏(経済再生担当大臣)による講演がありました。新型コロナウイルス感染症というものが未知のものであった段階から、科学的根拠・実証に基づく効果的な対策へと進化してきたことを振り返り、助成金などの経済面の支援について紹介するとともに、これからの働き方を展望。多様な働き手が物理的な場所にしばられずに活躍できる社会を目指し、「新しい風を取り入れるためにも、ぜひ積極的な他流試合を」と呼びかけました。

デジタルで新たな日本を創る

 続いて、藤井比早之氏(内閣府副大臣)より、可決したばかりのデジタル改革関連法についてお話しいただきました。「人に優しいデジタル化」「誰一人取り残さないデジタル社会の実現」を掲げ、デジタル庁の設置へ。住民が窓口に行かなくても、いつでも簡単に手続ができるようになる、そのための自治体の業務システムの統一・標準化であることを指摘し、「自治体の窓口事務が効率化されれば、そこで生まれた時間を使って地域それぞれの課題にいっそう向き合い、企画立案につなげられる」と期待を述べました。

コロナ禍をチャンスに「開放型自治」へ

 山田啓二氏(京都産業大学教授・元全国知事会会長)からは、人口減少時代の地方自治では、ソーシャルキャピタルを増やすことを求めらる中、閉じ込められ、管理されるのではなく、住民を中心にサービスが有機的に結びつくことによって、人が動ける開放的な社会になるとの提言がありました。岡山県での通所付添サポーターの事例等を紹介しながら、高度成長時代の文化から転換し、「CX(カルチャートランスフォーメーション)」を掲げる必要を説きました。生き方を開放的に変えることで、楽しく希望のある自治の実現が可能になる、今コロナ禍がそれをチャンスとしていると力強く語りました。
 

パネルディスカッション「コロナと闘う行政~国と地方の役割分担~」

 鈴木英敬氏(三重県知事)、成澤廣修氏(東京都文京区長)、穂坂邦夫(NPO法人地方自立政策研究所理事長)と、コーディネーターの田中秀明氏(明治大学公共政策大学院教授)によるパネルディスカッションでは、これまで自治体が行ってきたコロナ対策を振り返り、この中で明らかになった国と地方の役割分担の課題などが話し合われました。
 鈴木知事からはコロナ対策の「みえモデル」として、徹底的な初動対応、データ、エビデンスに基づく政策、きめ細かな情報提供などについて、成澤区長からはコロナ禍においてはプッシュ型でスピード感をもった対応が必要として、子どもの貧困対策や休校への対応、区民ボランティアによる飲食店支援、独自の事業継続支援保証などが紹介されました。
 穂坂理事長はこれらの取組について住民目線の意識が明確として評価し、コロナ禍が地方再生のチャンスになるのではと話されました。国は権限を手放さず、一律にルールを示したがるという指摘に対し、教育、医療、防災・減災などの領域の施策の地域での充実が、分権につながるのではないかといった意見が交わされました。 
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意見を交わすシンポジウムの登壇者

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