2021.05.25 予算・決算
番外編 令和3年度当初予算編
平成26年にも二つの修正提案が
このような絶妙な議会内調整が実現した背景には、これまでの修正の経験の積み重ねがあったように思われる。
平成26年3月定例会、松戸市議会予算審査特別委員会でも、令和3年同様に、修正に共通部分を含む修正案が2件提案された。平成26年3月定例会では、平成26年度一般会計予算について、7人から提出のあった修正案(以下「提案C」という)と2人から提出のあった修正案(以下「提案D」という)の共通する部分を除く部分について一括で採決し、可決した。その後、共通部分について採決を行い、可決した。
当時の修正提案書が手元にないため、議事録を確認した範囲での検討になるが、予算審査特別委員会での議案の諮り方の状況が、令和3年と似通っている。平成26年は、提案Dは、7人から提案のあった提案Cに完全に包含されている。しかし、どうやら平成26年の場合は、修正案の案文調整をせずに、おそらくそれぞれの修正提案はそのままに、委員会の運用で諮ったように見受けられる。
令和3年の方法で対応するなら、提案Cから共通部分を除いた修正案C’を作成し、まずこれを諮り、続いて修正案D’を諮るという方法になる。平成26年の場合、修正案C’が賛成多数となる見込みがあったようだ。提案者の意向を尊重するために、修正案は分割されて提案されたが、前述した千葉市議会のように、議会として執行部提案の予算に対してモノを申すならば、平成26年のケースでは一本化しても何ら問題はなかったように思われるし、住民から見ても分かりやすかったと思われる。
さらに、平成26年では修正案C、Dともに歳入減を予備費に繰入れしている。これも、前回(2020年10月26日号)、沖縄県那覇市の事例で取り上げたように、当初予算であるなら、補正予算と違い、財源調整基金の項目が立てられている場合が多いので、財政調整基金繰入額の減額の方が予備費減額よりスジがいい。
いずれにせよ、松戸市議会として予算修正の経験を積み重ねることによって、修正案の提案方法や委員会での諮り方などが、洗練されていっているように見受けられる。惜しむらくは、修正案が、「修正部分訂正形式」で作成された点である。委員会での提案資料は「修正部分列挙形式」で作成されながら、修正案が「修正部分訂正形式」になってしまった経緯は不明だ。
「修正部分訂正形式」の場合、修正案の頁数も増えることになるし、住民にとっても「修正部分列挙形式」の方が分かりやすいと思うのだが。また、修正提案についても、特に予算案の修正の場合、議会意思を明確にするのであれば、合意形成できるポイントに絞って一本化する方が、分かりやすいし望ましい。その上で、それ以外の箇所についての修正を求める場合は、修正部分以外の予算案に賛成し、付帯決議を付けるか、意見で「○○事業については賛成しかねる」と表明、若しくは、修正部分以外の予算案に反対し、意見として述べるという方法もあるだろう。結果的に修正がかなわない事実に変わりがない以上は、個々人の議員のアピール方法として、修正案を提案することと、今述べたような、それ以外の方法との差異はないように思われる。