2021.05.12 議会コミュニケーションに関するアンケート調査
議会コミュニケーションに関するアンケート調査【前編】
広報・情報学修士(社会情報大学院大学) 上島義盛
1 アンケート調査のねらい
議員は、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを通じ議会での活動を行っている。時代とともに、そのコミュニケーションも変容していくことになるが、昨今の急激な社会変化に対し、議会はどこまで対応できているだろうか。議会改革は多くの地方議会で進められてきているが、議会に求められるコミュニケーションにどう影響しているのか、また現場での実際の課題は何なのか、それらを把握することを目的にアンケート調査を実施した。
2 議会コミュニケーションという視点
議会は、憲法と地方自治法により地方公共団体の議事機関として規定され、住民の代表として地方公共団体の意思を決定する機能及び執行機関を監視する機能を担っている。いわば議会は、地域社会における公共の結節点としての役割を担っているといえる。しかし今日では、議会に対し批判的な見方や、冷ややかな目が注がれるなど、その役割を果たしていく上で求められる「住民の代表性」が実質的に揺らいでいるように思われる。議会が本来の機能を果たしていくためには、議会が自らのコミュニケーションの質と量を高めていくことが非常に重要になってきているのではなかろうか。主には、住民とのコミュニケーション、議員間のコミュニケーション、執行機関とのコミュニケーション、これらは議会の質はもちろん、公共運営に関わる重要な要素である。それらを「議会コミュニケーション」と称し、今後の議会のあり方における重要な視点とすべきと考える。
3 アンケート調査の実施
議会コミュニケーションを高めるには、議会自らが変化をしていく必要がある。近年、全国的に広がってきた議会改革において議会コミュニケーションの向上を見いだすことができるであろうか。その状況を把握するため、アンケート調査を実施した。
議会改革を行ってきている議会は、手法は様々であれ、全国で相当な数に上ると思われる。ここでは、①議会基本条例を有する、②人口15万人以上の市区町村議会を対象にアンケート調査を実施することとした。①は、議会のあり方とともに議会の新たな取組みが条例という公的な位置付けによって示されているということの重要性と、②については、議会コミュニケーションが議会の取組みにより影響するのが都市部であろうと想定し15万人以上とした。以下、アンケート調査の概要である。
① 調査概要
議会基本条例の下で実施されている主な取組み(議会報告会/議員間討議/全員協議会/政策立案/反問権)状況と、それらがどのような効果をもたらすのかを把握するため、現場の状況を最も客観的に捉えることのできる議会事務局に向けてアンケート調査を実施。
② 調査対象
議会基本条例を有する人口15万人以上の国内基礎自治体の109議会(政令市15市、中核市36市、特例市20市、一般市35市、特別区3区)。
③ 調査期間
・調査郵送日:2020年10月13日
・回答締切日:2020年10月26日
④ 調査方法
全国条例データベース「eLen」により発送先自治体の抽出。アンケートはオンライン「Qooker」を活用し実施。
[参考URL] 全国条例データベース「eLen」
https://elen.ls.kagoshima-u.ac.jp/
[参考URL] オンラインアンケートシステム「Qooker」
https://www.qooker.jp/
⑤ 回収状況
回答済み議会:86議会、回収率:約79%。