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2021.04.26 一般質問

第11回 一般質問を議会の政策資源に ①鷹栖町「週刊誌中づり広告風議会チラシ」とその核心

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一般質問などを「議会の資源にする」そのほかの試み

 このほかにも、以前からの取組みとして、議会だよりでの「一般質問」のその後の追跡がある。この取組みをけん引した青野議員によれば、他自治体に類例があり、「うちでもやってみよう」となったという。4定例会で行われた一般質問のどれを追跡の対象にするかということが一番の問題だが、「ご一任をいただきたい」ということで始めたという。特定の一般質問で取り上げた事案について追跡調査し、レポートする。広報の編集を4人1組の二手に分けて、時には現地に見にいくなどして調査するという。町民の関心や興味を引くだけでなく、行政も、議員や町民との向かい合い方が変わるという。
 「新聞折り込みチラシ」も、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて傍聴の呼びかけが制約されるタイミングもあったが、バリエーションを広げながら続けられている。最近では少年漫画誌のデザインを思わせるカラー刷りのものも。「一度始めたことはやめたくない、批判も含め学びながら続けたい」と青野議員はいう。派生したものとして、最近では、ショウワノートの了解を経て、同社の「ジャポニカ学習帳」のデザインを生かした『議会傍聴ガイドブック』が作成された。傍聴のルールや「一般質問の見どころ」をQ&A形式でまとめたものになっている。
 新聞折り込みチラシの主たる作業者である片山議員の負荷が気になるところだが、上記の『議会傍聴ガイドブック』は4人で作成、同僚議員とソフトウェア操作の技術移転にも取り組んでいるという。

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図6 鷹栖町議会『議会傍聴ガイドブック』

「先駆例だからできること」から「自分たちでもできること」に

 先駆例を紹介することは、その事例の固有の事情、属人性や再現できない経緯などが目立ち「だから、自分のところではできない」という、期待とは逆の結果に終わることもある。
 鷹栖町議会の場合は、一方では無投票が続く中で町民の議会に対する関心を惹起(じゃっき)したいという危機感、「やれることは何でもやろう」と話し合った経験と、それを具体的な、刺激的で賛否もありうる提案に対しても、斬新さを魅力として「まずやってみよう」とする木下議長、青野議員、着想と技術を持った片山議員の存在が、「鷹栖町だからこそできた」部分となっていることは間違いない。
 しかし、先駆例そのものの模倣でなくとも、その核心や機能から「自分たちでもできること」を取り出してできることもある。
 例えば「週刊誌中づり広告風新聞折り込みチラシ」の意義は、「一般質問と議員の魅力を伝えることで、議会に傍聴に来てもらう」ことを通じ、市民に議会のことをより理解してもらう(=議会と市民をつなぐ)一助にする取組みであることだ。「週刊誌中づり広告風」が難しければ、議員の顔写真と、質問の要旨や傍聴を呼びかける議員のコメントなどを素材にしてもいいだろう。「議会で何が行われるか」がより魅力ある形で、議会が「市民の傍聴を歓迎している」ことが伝わればいいのだ。
 「通信簿」にしても、その意義は「(せっかく来た)傍聴者が感想を表現できるようにし、それを可視化する」ことにある。厳しい評価が気になるようなら、受け止めなければいけない評価はあるにしても、少し丸められるように、あるいは褒められるべきところは褒められるように工夫もできる。例えば、模造紙に質問者の名前とタイトルを張り出し、傍聴者に丸シールなどを「共感シール」、「がんばれシール」として渡して、共感した質問や(いろいろな意味で)がんばってほしいと感じた質問に貼ってもらい、それ以上詳しくいいたい傍聴者にはポストイットにコメントを書いて貼ってもらう、といった形であればできるというところもあるのではないか。
 一般質問という「議員の、議員としての/政治家としての活動の集約」を、議会と市民をつなぐ資源として、議会や議員が何をしているか、魅力を伝える素材として生かす広報、Public Relationをそれぞれにできる方法で模索されることを期待したい。
 

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