2021.04.12 ICT活用・DX
【新連載第1回】 コロナ禍におけるオンラインを活用した住民とのコミュニケーション~北海道芽室町議会の取組み~
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳
2007年4月に早稲田大学マニフェスト研究所の招聘研究員を拝命して14年。地方分権から地方創生へと進んできた地方自治の様々な現場に伴走してきた。統治(ガバメント)から協治(ガバナンス)へ。住民、地域団体、企業、行政、議会等の多様な主体が、地域の課題の解決に向けて、お互いに知恵を出し合い、それぞれの責任において行動することが今求められている。
未曽有のコロナ禍の中、地方自治のあり方も大きく変化しようとしている。この連載では、「地方自治の今をつかむ!」と題して、全国で今まさに現れ出ようとしている地方自治の「未来の兆し」を紹介していきたい。
《今回のキーワード》
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コロナ禍による議会機能の低下
2020年からの新型コロナウイルス感染拡大といった先行きの見えないコロナ禍の中、地方議会の活動にどのような変化が起きているのか。早稲田大学マニフェスト研究所が2020年11月に実施したオンライン調査「コロナ禍における議会のICT活用についての調査」(回答数906議会、回答率50.7%)によると、議会の会期が短くなったと答えた議会が153議会(16.9%)、議案の審議時間が短くなったと答えた議会が213議会(23.5%)、一般質問の時間が短くなったと答えた議会が410議会(45.3%)と、コロナ対応で多忙な執行部に配慮してか、議論をするといった議会の機能が低下した議会が少なからずあることが読み取れる。調査項目にはないが、議会報告会、住民との意見交換会の中止や、視察や研修会の中止を判断した議会の話も多く聞く。住民の意見を聴く機会、先進事例を学ぶ機会の減少も、議会機能の低下につながる。
そんな中、地方創生臨時交付金等を活用し、タブレット端末を導入する議会が113議会増えていることや、3密を回避する目的でZoom等のオンライン会議システムを利用した議会が、本会議又は委員会で11議会(1.2%)、それ以外の会議で84議会(9.3%)と、回答議会の1割にもなり、Withコロナ、Afterコロナを見据えた新しい地方議会の姿の兆しも見え始めている。
今回は、コロナ禍の中だからこそ、議会機能を維持しようと挑戦する北海道芽室町議会の取組みについて、住民とのコミュニケーションでのオンラインの活用を中心に考えてみたい。
芽室町議会議員の皆さん