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2021.02.25 政務活動費

第17回 議員の責任

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【コラム:ヤジ】
 議会につきものともなっているヤジは、ユーモアやウィットに富むものであれば議論の香辛料ともなりうる一方、発言や議事の妨害、罵詈(ばり)雑言、私語、騒音などは議会の学級崩壊状態を示すものなどと批判されている。発言機会のない議員にとってはその意思を示す手段(審議への参画)ともなり、居眠りをしているよりもましだ、声援や異議は審議の活性化にも寄与するなどといった好意的な見方が少なくないものの、いずれにしてもヤジを飛ばすのであれば、議事ルールを理解し発言者の議論をよく聞いている必要があるほか、それなりのテクニックを要し、また、発言を封じるまでには至らない程度にとどめることが肝要である。差別的なもの、セクハラ、侮辱となるようなものは、ヤジとはいえ許されるものではなく、議員としての見識が問われるものといえる。
 ヤジは、状況によって匿名的なものとなることもあれば、発言者が特定されることもあるが、会議録に「『○○』と呼ぶ者あり」「『○○』という人あり」「発言する者多し」などと記載されることもある。
 ところで、このヤジ(野次)は、「野次馬」が短縮されてできた言葉であるという。そして、この「野次馬」の語源については、一説には、「親父馬」であり、「おやじうま」の「お」が省略されたものともいわれる。この親父馬は、老馬のことで、いつも若い馬の尻について歩くことから、いつのまにか転じて、人の後についてわけもなく騒ぎ立てる人たちの意味に変化していったとか、老馬が仕事に使えないことから、うるさいだけで何の役にも立たない人たちのことを「やじ馬」と呼ぶようになったとかいわれる。
 そして、明治以降は、「野次る」、「野次を飛ばす」といった使われ方もされるようになったものだ。
 語源はともあれ、少なくとも、ルールや品位を保ち、スマートなヤジを心掛けたいものだ。

 議員活動の一環としてホームページを開設したり、SNSを利用したりするなどして、情報発信をする自治体議会議員も増えているが、それが住民等に対する議会や行政に関する情報の提供のために行われたものであっても、職務行為には該当せず、他人の名誉を毀損するなどした場合には、議員個人の損害賠償責任等が問われうることになる(9)
 名誉毀損を理由とする賠償責任の成否については、一般に、社会的評価を低下させる事実の摘示によって名誉毀損の不法行為が成立し、社会的評価の低下の有無は一般人を基準として判断すべきものとされる一方、公共の利害に関する事実にかかわり、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、違法性が阻却され(刑法230条の2)、また、事実の真実性の証明が欠けるときでも、行為者がその事実を真実であると信じるについて相当の理由があると認められるときは故意・過失はなく、不法行為は成立しないとされている(10)
 議員の個人的な発言の違法性については、これに基づいて判断されることになる。
 自治体議会議員のインターネット上での発言につき名誉毀損であるとして損害賠償責任を認めた裁判例としては、議員の市議会における発言内容及び当該議員のブログの内容によって名誉が毀損されたなどとして、損害賠償と謝罪広告を求めた事案で、議会発言は市議会の代表質問の中で行ったものであるから議員個人は民事上の損害賠償責任を負わないとする一方、本件で問題とされた報告書は自ら開設したブログの記事の中で掲載したもので市議会の媒体に掲載されたものではないことからすれば、市議会の議員としての職務を行うについて行われたものとは認められないとし、名誉毀損の成立につき公共の利害、公益目的、真実性、相当性の抗弁につき検討した上で、社会的評価の低下による損害につき一部請求を認容した名古屋地裁岡崎支判平成30年5月25日LEX/DB25560891などがある。

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