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2021.02.25 政務活動費

第17回 議員の責任

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2 議員と民事責任

 議会における議員としての行為について議員が問われうる民事責任としては、不法行為による損害賠償責任、不当利得の返還義務などがある。
 その場合、議員が当該自治体から損害賠償請求や不当利得返還請求を受けることがあるほか、個人から国家賠償請求や損害賠償請求が提起されることがある。また、住民が自治体の行財政を監視する仕組みとして、住民監査請求・住民訴訟が認められており、その請求の対象は、監査請求では監査委員、訴訟では自治体やその執行機関・職員となるが、それを通じて議員の責任が追及されることもある。住民監査請求では、不当な行為や怠る事実も対象となるが、住民訴訟は、住民監査請求を前提として、違法な財務会計上の行為につき差止め、取消し・無効確認、不作為の違法確認、損害賠償や不当利得返還を求めるものであり(2)、住民監査請求や住民訴訟の増加とともに、その違法や長・職員などの責任が認められる例も増えてきている。
 また、責任を追及する前段階として、情報公開請求がなされ、開示が不十分な場合には、情報公開訴訟が提起されることもある。情報公開は、住民の知る権利に応えるだけでなく、住民に対する説明責任を果たし、住民による監視を実現するための重要な手段であり、情報公開制度が整備されるに伴い、これをめぐる訴訟も増えており、情報公開請求とそれに関する訴訟の提起は、住民監査請求・住民訴訟とともに、自治体の行財政運営を監視・コントロールする手段として活発に用いられるようになっている。

(1)損害賠償責任
 議員が議会外で行った行為により他人に損害が生じた場合には当該議員が賠償責任を負うことになるのが基本だが、議員が議会において行った発言について損害賠償責任を問われることはあるのだろうか。
 この点、国家賠償法では、自治体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務行為につき、故意又は過失により違法に他人に損害を与えた場合には、当該自治体が責任を負うとされており(1条1項)、その場合には、その公務員個人については、被害者に対して責任を負わないものとされている(3)。自治体議会の議員も、特別職の地方公務員であり、国家賠償法上の「公務員」に当たり、議会での発言については基本的に公権力としての職務行為に該当しうることになる。したがって、それに該当する限りは、国家賠償法が適用され、自治体の国家賠償責任の問題となり、あとは議員に故意や重大な過失があった場合の自治体の求償の問題が残ることになる。
 それでは、議員の議会での発言がどのような場合に職務行為に当たり、また、自治体はどのような場合に賠償責任を負うことになるのだろうか。

17-1図1 関係条文の確認

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