2021.02.10 コンプライアンス
第24回 政治資金パーティーでのあれこれ(1)
4 パーティー券の販売方法
販売方法は限定されておらず、対面方式のみならず郵便申込みやウェブ、メールでの購入申込みなどを利用して販売することも可能です(ただし、「書面」での告知義務(前述2参照)との関係で、開催告知も含めてウェブやメールのみで済ますことは、現行法では困難と考えます)。
なお、販売に当たって、以下のような規制がありますので注意が必要です。
・ 本人以外の名義や匿名での購入の禁止(規正法22条の6第1項、3項)
・ 当事者の関係などを利用し威迫等相手方の意思を不当に拘束する方法による購入のあっせんの禁止(規正法22条の7第1項)
・ 相手方の意思に反して給与や下請代金などから控除する方法によるあっせんの禁止(規正法22条の7第2項)
・ 公務員の地位を利用した販売や販売の関与の禁止(規正法22条の9第1項)
特に本人以外の名義や匿名での購入は、20万円以上の対価を支払った場合に収支報告書への記載と公表されること(規正法20条、12条1項1号ト)との関係で対応を求められることも多いかと思います。しかしながら、法に携わる政治家が法に反したり脱法的行為をすることは許されません。
また、後援会会員や支援者の方が、応援に力が入るあまり、第三者に購入を強要することなどがないように、規正法の規制についても周知する必要があります。
5 会計帳簿の作成、収支報告書の作成・提出(規正法12条1項1号ヘ~チ、同項2号)
政治団体が政治資金パーティーを開催する場合、対価としての収入やパーティー開催のための支出について規定の事項を会計帳簿に記載しなければなりません(規正法9条1項1号ヘ、ト、同項2号)。
また、毎年提出する収支報告書において、政治資金パーティーの収入を事業収入として報告し、当該パーティーが特定パーティーとなる場合は、詳細な内訳も記載します(規正法12条1項1号ヘ)。また、対価の支払や支払のあっせんが20万円を超える者について氏名等の記載も必要となります(同号ト、チ)。政治資金パーティーの支出については、1件当たり5万円以上のものについて詳細を記入します(同条1項2号)。
6 政治団体以外の者が特定パーティーを開催する場合の特例
政治団体以外の者が政治資金パーティーを開催する場合で、対価に係る収入が1,000万円を超える特定パーティーとなると見込まれる場合は、当該政治団体以外の者はそのパーティーに関しては政治団体とみなされることになります(みなし政治団体。規正法18条の2)。これは、パーティー券が予想以上に売れたなどの事情で事後的に特定パーティーとなった場合も同様です。
そのため、みなし政治団体となる者は政治団体としての団体の設立・解散の届出や、収支報告書の作成・提出等、政治団体に準じた規制を受けます。具体的には以下の手続が必要になります。
(1)設立届等の提出
特定パーティーを開催しようとするとき(「開催日」ではありません。事後的に特定パーティーとなる場合は対価が1,000万円を超えるパーティーであることが決まったときとなります)から7日以内に「政治団体設立届」及びパーティーの名称、予定収入やいわゆるもうけを支出する先などを記載した特定パーティー「開催計画書」を所管の選挙管理委員会に文書で提出します(規正法18条の2第2項、6条)。
さらに、当該届に併せて規正法22条の8第2項の告知書面も提出しなければなりません(規正法施行令9条2項)。
この届出をしないときは、特定パーティーについて対価の支払を受けたり支出をすることができません(規正法18条の2第2項、6条、8条)。
(2)会計帳簿の作成・収支報告書の作成・提出
みなし政治団体となった以上、特定パーティーに関して通常の政治団体と同様、収入と支出について会計帳簿を作成し、パーティー終了後には収支報告書を作成・提出しなければなりません(規正法18条の2第2項)。
ただし、通常の政治団体の場合と異なり、会計帳簿の作成や収支報告書の提出については会計責任者に加え代表者も義務を負い、収支報告書の提出については、パーティー終了の日から3か月以内となっています(同項)。
一方、何らかの理由により特定パーティーの開催が中止となったときは、中止時点での収支報告書を作成し、中止決定の日から30日以内に提出しなければなりません(規正法18条の2第2項、17条1項)。
(3)みなし政治団体の終了
みなし政治団体が収支報告書を提出したときは、政治団体でなくなったものとみなされます。
特定パーティーが中止となった場合は、収支報告書と同じく、中止となった日から30日以内に中止したこと及び年月日を届け出なければならず(いわゆる「解散届」)、この解散届と収支報告書の提出により政治団体でなくなったものとみなされます(規正法18条の2第2項、17条)。