2021.02.10 コンプライアンス
第24回 政治資金パーティーでのあれこれ(1)
弁護士 金岡宏樹
政治活動をしていくためには、どうしても一定の費用がかかってしまいます。もちろん政務活動費もありますが、金額や使途が限定され、何にでも使えるわけではありません。そこで寄附とともによく行われているのが、政治資金パーティーです。
自身の後援団体などが開催することもあれば、他の政治家や政治団体から案内を受けることもしばしばかと思います。今回は、この政治資金パーティーについて考えてみましょう。なお、政治資金パーティーは、政治資金規正法(以下「規正法」といいます)に規定されています。公職選挙法からは少し外れてしまいますが、今回は同法の規律を中心に解説します。
Question
Q X県Y市の選挙区から選出された県議会議員AさんのB後援会(政治団体)では、後援会の行事として以下のことを行っています。法律上の問題はあるでしょうか。
① 毎年1回、「Aを囲む夕べ」として参加者実費負担のもと激励会を開いていますが、政治資金パーティーとして収支報告書に記載するべきでしょうか。
② Bの後援会員やその他の県民を対象に、毎月1回、ホテルで政策勉強会を開いています。少し高めに参加費をいただき、支出(実費)との差額を後援会活動費に充てていますが、政治資金パーティーの扱いとなりますか。
③ Aさんの今後の政治資金を確保するため、Y市内のホテルを会場としてB主催の大規模な政治資金パーティーを開催しようと考えています。開催に当たり、以下のような場合、問題はないでしょうか。
a B後援会の会員を中心に販売するため、印刷代を節約しようと手づくりのチラシに付けた簡易な参加申込書とし、政治資金パーティーであることを記載しなかった。
b 政治資金パーティー開催の案内に「Aさんを激励する第1回政治資金パーティー」との記載をしておき、購入者に手渡すパーティー券には「Aさん激励会参加券」として政治資金パーティーであることを記載しなかった。
c 二つの大会社を経営する知人のC氏に、それぞれの会社で100枚ずつ合計200枚のパーティー券を購入してもらい、さらにC氏個人にも家族分として3枚購入してもらった。
d D氏から、自分がパーティー券を買ったことを知られたくないとの希望があったので、お金を預かり、領収書はAさんの知り合い名義とした。
e 残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響でパーティーが中止となってしまった。結果的に政治資金パーティーは開かれなかったので、収支報告書に区別して記載しなかった。
f 政治資金パーティーを政治団体である後援会ではなく、有志が立ち上げた「A応援団」名義で開催しようとした。