2020.11.25 広報広聴
第2回 広聴活動の現状分析と新たな政策構築の手法の提案 ──岩手県北上市の事例
6 おわりに
民間企業で働く筆者としては、我々が消費者として購入する物、サービスに対して価値・感情を持つことと同様に、地域住民は自分が住む場所(地域)、公共サービスに対し興味関心がないはずがないと考えます(筆者もその一人です)。今回の提言を通して、自治体が考える政策と、地域住民の考えにズレがないか、コミュニケーションを通じて確認していくためには、広報・広聴活動は自治体にとって大変重要だと思いました。
次回は、「公共コミュニケーション」における他施策と、コロナ禍における広報・広聴活動の展望について紹介したいと思います。
◉議員質問のポイント
① 収集できるデータを有効活用していますか。
データに基づいた政策立案は信頼性が非常に高まります。資料は至るところにあり、費用をかけて購入したり、新しい調査を行わずとも、現状分析は実施することができます。また数値化できない活動でも傾向を把握できますので、自分の仮説が正しいか、まず調べていくことにより、政策の具体性が向上します。この取組みが十分ではない執行部がありますから、改めて質問してもよいでしょう。
② 広聴の目的を明確にしていますか。
前回示した、広聴から得られた政策反映性の担保と同様、広聴を実施する際の目的が示されていないと、単なるコミュニケーションの機会でしかなくなり、行政・市民双方のメリットが明確でなくなります。目的が明確化すれば、効果測定の方法も検討することができ、「やるだけ」の広聴ではなく、より良い政策実施につながります。改めて、執行部に広聴の目的を確認する必要性はあります。
③ 時代に合わせた広報・広聴の形を考えていますか。
ITツールの進化やSNSの普及、コロナ禍における生活習慣の見直しなど、私たちの生活を取り巻く環境は急速に変化しています。市民も年代によってライフスタイルが変わり、行政に対する接点も多様化する中、これまで形を変えず実施してきた政策に
ついて内容を見直してはいかがでしょうか。プロセスごとに見直す、あるいは複数のものを組み合わせて統合するなど、より効果的なものが構築できる可能性が高まります。
(1) 参加者がリアルタイムで話の内容を共有、理解できるよう、会議や講演で話された内容を、文字とイラストを使って記録する方法のこと(議事録のイラスト化)。大きなホワイトボードや模造紙に描かれるスタイルが一般的。グラフィックレコーディングの参考資料:内閣府男女共同参画局シンポジウム「企業価値を高める女性活躍推進〜ESG投資、SDGs経営に着目して〜」(令和2年2月4日)(http://www.gender.go.jp/public/event/2019/pdf/0204gurareko.pdf)。
(2) KH Coderはフリーソフトになります。次のURLからダウンロードできます。https://khcoder.net/
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