2020.11.25 広報広聴
第2回 広聴活動の現状分析と新たな政策構築の手法の提案 ──岩手県北上市の事例
3 北上市の現状分析
政策提言をするに当たり、北上市からは「『市長と話すまち育てタウンミーティング』の新たな手法」(以下「タウンミーティング」という)というテーマで課題を提示されました。市長と市民が直接対話する広聴手段をとっているが、近年申込みと開催数が減少しているため、手法を見直し提言してほしいというものです。
筆者は、広報・広聴に必要なITインフラやツール、及び広聴活動の現状について、全国や近隣地域との比較検証を含め事前分析を実施しました。
はじめに、コミュニケーションの手法を検討するため、インターネット利用率の傾向を調査しました。市区町村別データがないため岩手県全体の傾向となりますが、岩手県は70.5%と全国45位であり、低い利用率となっています(図1)。次に、岩手県内の主要市町のデジタルチャネル(SNSの公式ページ)の有無と登録数を調査しました。日本国内で利用者数
の高いFacebook、Instagram、Twitter、YouTubeで検証しましたが、いずれも登録者数は
人口比で非常に低く(平均1%前後)、活用されているとはいえない状況です(図2)
北上市は全チャネルの公式ページを開設しており、他市町村と比較してデジタルツールに対する感度は高いと考えます。住民とのコミュニケーションを促進するには、インターネットやSNSに偏らず、従来なされている手段(紙ベース)と両立した情報発信の展開が必要であることが分かりました。