2020.10.26 選挙
第23回 選挙運動時の買収罪
弁護士 金岡宏樹
選挙犯罪といえば、誰でも思い浮かべるであろう「買収」。昨今でも巷(ちまた)で話題となっています。以前の記事の中で、詳細に書くと連載1回分になってしまうと述べましたが、公職選挙法(以下「法」といいます)を理解する上では避けて通れないテーマですので、コンプライアンスの意識を高めていただくべく、今回は詳しく検討してみたいと思います。
Question
Q 前回惜しくも落選し、今回の選挙でX市の市議会議員に返り咲きを目指しているBさん。何としてでも当選するため、選挙前後で以下のようなことをしました。法律上、問題はあるでしょうか。
① 選挙告示前、選挙運動の法規制について勉強するため、費用を支払って弁護士や選挙コンサルタントを招いた勉強会を行った。
② 選挙告示前、X市外で開いた選挙区域内在住の同級生との食事会で、「今度の選挙は俺を当選させてくれよ」といっておごった。
③ ②の後、Bさんが、市議会議員選挙終了後に当選祝いを兼ねて開いた食事会で、投票してくれたことへの感謝として同級生に食事をおごった。
④ Bさんの選挙対策本部長を務めるCさんに効果的な集票を相談したところ、Cさんが知り合いの地元町内会長Dさんに、「Bさんが当選したら、町内の下水道を優先的に整備させてもらうから住民の方々によろしく頼む」と選挙の際の票のとりまとめを依頼した。Dさんは、「分かった、任せとけ」といったものの、不安に駆られて結局とりまとめはしなかった。
⑤ 告示前、選挙区域外に住む知り合いのEさんに、Aさん陣営の選挙運動の様子を逐一チェックするようお願いした。その後、Eさんから「調査の日当を支払ってくれ」といわれたものの、Bさんは断った。
⑥ 選挙で無事に再選を果たした3か月後、一運動員として選挙運動に積極的に携わり再選後にBさんの秘書となったFさんから、「選挙のときいろいろ頑張ったのだから、その評価として給料を上げてください」といわれ、臨時ボーナスとして5万円を渡した。しかし、Fさんは翌日不安になり全額返還した。
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