2020.09.25 選挙
悪天候により離島から本土の開票所に投票箱を送致できない場合離島で開票を行うことができるか/実務と理論
4 公職選挙法・公職選挙法施行令の一部改正
台風の接近や自然災害の危険がある中の選挙では、投開票事務に従事する者の安全確保や投票自体の毀損を避けることが第一であり、法令上、投票日翌日以降の開票も可能ではあるが(法65条・法73条において準用する法57条1項前段)、一方で、選挙結果の早期確定の観点から、国政選挙においては投票日当日の開票を総務省から助言しているほか、選管としても開票事務従事者の確保や各団体の通常業務への影響などから、関係者の安全確保等に支障がなければ、当日開票を行いたいとの要請がある。
これらを踏まえ、選挙期日の間近になって急きょ開票所を新たに設ける必要が生じた場合の対応についてその手続を明確にするとともに、新たな開票区の設置が円滑にできるよう、改正法により、①開票立会人の選任手続の整備、②開票立会人の選任要件の緩和等が行われ、①については、公職選挙法施行令の一部を改正する政令(令和元年政令15号)により、具体的な選任手続が規定された(令70条の4~ 70条の8)。
(1)開票立会人の選任手続の整備(法62条8項)
候補者等からの開票立会人の届出期限は選挙の期日前3日とされているが、この期限経過後の選挙の期日前2日以後に都道府県選管が新たに法18条2項の規定による分割開票区又は合同開票区を設けた場合、選挙の期日前日までの間に設けられた場合には市町村選管において、選挙の期日以後に設けられた場合には開票管理者において、それぞれ3人以上10人以下の開票立会人を選任することとされた。ただし、同一の政党その他の政治団体に属する者を3人以上選任することはできないとされている。
なお、分割開票区を設けた場合、従前の開票区においてすでに候補者等の届出又はくじという法定の手続によって開票立会人と定められていた者については、「分割開票区における選挙人名簿登録者数が最も多い分割開票区」(所属選挙人名簿登録者数が最も多い分割開票区が二以上あるとき、又は全ての分割開票区の所属選挙人名簿登録者数が同じであるときは、これらに該当する分割開票区の中から当該管轄の選管がくじで定めた分割開票区)において、そのまま開票立会人に選任される。
(2)開票立会人の選任要件の緩和等(法62条1項)
従来、開票立会人は「当該選挙の各開票区における選挙人名簿に登録された者」から定めることとされ、離島などの小さいエリアで分割開票区を設けた場合、当該離島から開票立会人を選任することとされていたが、分割開票区を設けた場合においても当該市町村の範囲から開票立会人を選任できるよう、「当該選挙の開票区ごとに、当該開票区の区域の全部又は一部をその区域に含む市町村の選挙人名簿に登録された者」から定めることとされた。