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2020.06.10 話し方・ファシリテーション

第5回 「3人1組の対話」を生かす、課題共有型円卓会議(上)

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(3)第2部(セッション2)
 第2部は、第1部の集約や意見交換で出された素材をもとに、センターメンバーの意見や主張も含めたクロストークとなる。第1部での、自分以外の登壇者からもたらされる情報や、意見交換での熱気ある話し合いやそのまとめが、センターメンバーにとっても刺激になって、発話がかみ合い、クロストークになる要因として機能するように思われる。時間が確保できるなら、センターテーブル以外の参加者から発言を募ってもよい。「実は……」という参加者がいて、プチミラクルがもたらされることもある。
 終了前にはセンターメンバーと論点提供者に総括の時間を短い時間でも用意し、できればファシリテーショングラフィッカーの記録を振り返り、終了する。

4 課題共有型円卓会議の効果

 課題共有型円卓会議の効果は、まず、何より、参加者の「熱量」が上がる話し合いにより、論点提供者が「困りごと」として提起する政策課題を、センターメンバーの持つ良質で豊かな情報とともに、「自分ごと」というのは少し情緒的かもしれないが、自分のいる社会にある課題として共有されることにある。課題共有の重要性については、後に述べたい。
 参加者の感想やアンケートでは、「知る」こととともに、他者の異なる意見による刺激、「話し合い」のよさや意義をめぐる実感がしばしば語られる。充実した円卓会議の後には、人々が会話を交わす姿や、ファシリテーショングラフィックを携帯やスマートフォンで撮影して持ち帰ろうとする姿が多く見られる。
 論点提供者やセンターメンバーからも、充実感や参加者の感想、会議の熱気にエンパワメントされるという声が聞かれる。課題共有型円卓会議はその名のとおり課題解決を目的とするものではないし、論点はそもそも容易に解決できるものではない。立場の違う登壇者からの多面的・多角的な情報の提供は、当然、登壇者同士の立場の違いや意見の違いも示される。だが、多くの参加者がそこで提供された論点や情報を共有して話し合う姿に、「元気が出た」と語る登壇者は多い。


(1)  みらいファンド沖縄「沖縄式地域円卓会議」(https://miraifund.org/l_roundtalbes/(2020年6月5日最終確認))。
(2)  課題共有型円卓会議という呼称は、沖縄式地域円卓会議の調査、みらいファンド沖縄でのインタビューを踏まえ、2014年に筆者の論文で使用し始めた。土山希美枝「政策課題を共有する『話し合い』の場の設計:『自治の話し合い』手法としての沖縄式(課題共有型)地域円卓会議の考察」龍谷政策学論集4巻1号(2014年12月)、https://opac.ryukoku.ac.jp/webopac/TD00517001から「本文・要約」ボタンをクリックして閲覧可能。
(3)  ATA-net研究センター(多様化する嗜癖(しへき)・嗜虐(しぎゃく)行動からの回復を支援するネットワーク)、JST-RISTEX科学技術振興機構「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」プロジェクト指定研究(https://ata-net.jp/(2020年6月1日最終確認))。
(4)  みらいファンド沖縄『沖縄式地域円卓会議開催マニュアル』2013年(以下のページから目次の確認、購入申し込みができる。https://miraifund.org/【ご案内】「沖縄式-地域円卓会議-開催マニュアル/)。このほか、注(2)の土山論文も参考にされたい。

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