2020.06.04 コンプライアンス
第21回 自宅等でできる政治活動【コロナ禍によるステイホーム期間での注意点】
解説1 インターネットの活用
インターネット等を利用した政治活動・選挙運動については、本連載第16回(2019年7月25日号)及び第17回(2019年9月10日号)で解説しましたが、ここでもう一度、全体を確認しておきましょう。
1 公選法が規制する「インターネット等(を利用する方法)」の範囲
ひとくちにインターネットといっても、ウェブサイトや電子メール、SNSに動画サービス、さらにはテレビ会議システムなど様々なものがあります。
これらと公選法が対象とする「インターネット等(を利用する方法)」(公選法142条の3第1項等)は、以下のような関係にあります。
◯ 公選法の「インターネット等(を利用する方法)」→有線、無線を問わず受信者の端末画面に文書図画を表示させるあらゆる電気通信(ただし放送を除く) |
すなわち、受信者の持っている端末に電気通信によって何かしらの文書図画を表示させるものであれば、テレビ・ケーブルテレビやラジオなどを除き、全て「インターネット等(を利用する方法)」に当たります。
したがって、上記サービスは全て「インターネット等(を利用する方法)」として、公選法の規制に服することになります。
2 「電子メール(を利用する方法)」と「ウェブサイト等(を利用する方法)」
公選法は、「インターネット等」について、さらに「電子メール(を利用する方法)」と「ウェブサイト等(を利用する方法)」について扱いを異にしています。
「電子メール(を利用する方法)」とは、理解しやすくいえば、メールアドレス(@が付いたアドレス)や電話番号などを利用して通信するものです(詳細は本連載第16回の解説をご覧ください)。
他方、「ウェブサイト等(を利用する方法)」とは、「インターネット等」から「電子メール(を利用する方法)」を除いたものです。電子メールやショートメッセージサービス以外は「ウェブサイト等(を利用する方法)」と考えておけばよいかと思います。
3 政治活動とインターネット等
(1)原則
公選法は、インターネット等を利用した政治活動について、ほとんど規制を設けていません。
インターネット等を通じて、すなわちホームページやSNSを利用したり、さらには電子メールやショートメッセージサービスなどを使って政治活動用の文書図画を頒布したり、インターネット広告を掲載することができます。
(2)例外
ただし、何でも自由というわけではありません。
一般的な規制、例えば事前運動の禁止(公選法129条)や挨拶目的の有料広告禁止(公選法152条1項)などに注意する必要があります。
また、選挙運動期間中に行う政治活動目的の有料インターネット広告については、選挙運動目的であることを免れるために行うことはできません(公選法142条の6第2項)。