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2020.04.10 話し方・ファシリテーション

第4回 「市民との対話」イメージを再設定する

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5 3人1組の話し合いという「プチミラクル」の種

 知立市議会の場合は4人、前回紹介した総社市議会の場合も3人ないし4人であった。この「話し合いのサイズ」について考えよう。筆者の経験が軸になるが、おおむね3人1組のサイズでの対話は、場の熱量を上げる大変効果のある手法と感じている。ワークショップだと設営も大仰になるが、3人1組なら最初の座席配置を工夫するだけでよい。机はない方が望ましい。荷物は座席の下か貴重品以外の荷物置き場を用意し、書く便宜を図るならA4判の書類ボードがあればよい。椅子を少し動かして対話してもらい、終わったら戻る。
 熱量が上がる要因は、おそらく、「本音も語りやすい私語のようなサイズ」、「短時間でも少人数だから1人当たりの発話時間が長めになる」というあたりだと思われるが、詳しくは次回に触れたい。講演の内容を消化し、自らの関心を語り、そのことが対話後の講演まとめに耳を傾ける動機になっていること、また、ときに、参加者から「実は、自分はこういうアイデア/方策/資源を持っている」という発話が出てくることがある。「プチミラクル」と呼んでいる。
 途中で3人1組程度の話し合いを入れる手法は、公益財団法人みらいファンド沖縄の課題共有型円卓会議から学んだものである(1)。課題共有型円卓会議は、特定の政策課題について共有し、参加者の深い議論が期待できる方法であり、次回に説明したい。
知立市議会は、2020年2月の第31回議会報告会は課題共有型円卓会議の方式で参加型フォーラムとして開催したが、僭越(せんえつ)ながら、過年度の取組みを通じて「市民との対話」の機会にそれぞれの議員が習熟していかれたように感じられる。知立市議会の田中健議長は、2回の報告会を振り返って、「当時、議員も必ずしも支援者以外の市民との対話を得意としていたわけではなかった。市民と議会が対峙(たいじ)するのではなく、(講演の内容を仲介にして)膝を突き合わせて語る経験が、市民また市民参加への目線を養うことになったと感じる。2020年の課題共有型円卓会議はこの習熟をえてより実りある機会となった」という。

6 「いわゆる議会報告会」がダメなのではない

 念を押しておきたいが、「いわゆる議会報告会」がダメなのではない。議会が、議会の論点を伝え、市民から政策課題の種となる声をもらう機会である。ダメなわけがない。特定議員とのつながりや、団体という意見集約のルートを持たない市民とつながる重要な機会である。だが、そもそも「政策課題の種を集め、育てる」目的が明確で、そのための工夫や仕組みや体制や覚悟があるというわけでなく、「とにかく市民との対話をしてみよう」という動機なら、「いわゆる議会報告会」のイメージに拘束される必要はない。市民にも議員にも益になりうる、いろいろな選択肢があるのだということである。
 自治体〈政策・制度〉をよりよく制御する「政策議会」として、議会には、学ぶべきこと、市民と共有すべきこと、対話しうることが多様にある。今、何が必要で、何ができるのか、何を目指すのか、目的を設定して手段を選択すればよい。
 次回は、「3人1組の対話」を生かす、課題共有型円卓会議について紹介したい。

(1) 土山希美枝「政策課題を共有する『話し合い』の場の設計:『自治の話し合い』手法としての沖縄式(課題共有型)地域円卓会議の考察」龍谷政策学論集4巻1号(2015年)。

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