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対談 自治体議員のキャリアパスとは

2020.03.10 仕事術

【対談】小田理恵子さん×編集部  自治体議員のキャリアパスとは~パブリックマインドが武器に(上)

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社会に人とお金を回していきたい

編集部 社会的課題の解決ということではNPOを立ち上げるという手法もあると思いますが、「株式会社」という形を選んだということには何か想いや狙いはあるのでしょうか。
 やはり利益を出し続けることを追求するということで、株式会社には継続性があると思いますが、そういった点で自治体として連携しやすい・組みやすいということはあるのでしょうか。
 
小田 社会を回していくためには、人とお金が回らないと、と思っています。だから株式会社として、営利の追求も含めて、継続的に責任をもって取り組めるようにしたいと思っています。また、利益が出るようになれば、その中でまた新しいことができるようになりますしね。
 
編集部 地方には課題も多いと思いますが、特に取り組んでいきたい分野はありますか。
 
小田 課題のひとつは、地方にお金を回していくことです。そして、どの分野の課題の優先度が高いということでもなく、全部が大事(だいじ)だと思っています。大事(だいじ)なことでなければ、もっと前になくなっているでしょう。私たちの会社がやりたいのは、皆が持っているそうした大事なことを、大事なままやり続けるのを支援することです。社会が持続するための仕組みづくりです。だから、私たちの専門分野をあえて言うならば、官民連携でしょうか。
 今はとにかく地方や行政にお金や人が回っていかない、そこの悪循環を官民連携の切り口から何とかしたいと思っています。 それぞれの自治体の首長や議員は、その地域を良くしていくためにアイデアや想い、課題意識を既に持っています。その人たちがやりたいことをやれるようにお金や資源を回していくのが私たちの役割だと思っています。
 
編集部 なるほど。これまでの地方の財源調達は、国の補助金や交付金頼みだったり、基金を切り崩したり、地方債を起こしたりといったことが主流であったかと思います。そうでない道としては、クラウドファンディングなども新しい形の資金調達法として、少しずつ注目を集めていますが、自治体の新たなマネタイズの道を模索しているということでしょうか。
 
小田 そういう意味では、「自治体の」でなく、「社会の」ですね。「自治体の」って言ってしまうと、単に「自治体がんばれ」ということになってしまう。そうではなく、民間企業も住民も議員も、皆が知恵を絞って、新しい持続可能な社会を作っていくということを目指しています。

あなたのまちの課題は何ですか?

編集部 話を変えますが、『議員NAVI』は、比較的大きな規模の自治体から小さな規模の自治体の議員まで幅広い方にお読み頂いています。自分のまちでも官民連携事業をぜひ進めていきたいという希望をお持ちの方もいると思いますが、そういった読者に向け、何かコメントを頂けますか。
 
小田 そうですね、そういう意味でお願いしたいのは…。ここ(『SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)』)は、場所柄がとてもいいんですよ。渋谷駅直結ですし、眺めもよいし、オープンな雰囲気で、新しい価値や働き方を模索する人や企業が集まっている。
 QWSでは“問い(Question)を起点にして考えること”を大切にしています。だから、ここにQuestion(問い・課題)をどんどん集めて、ここに来ている色んな人をつなげて、その人たちと一緒になって課題を解決しましょう、応援しますという立場をとっています。公共セクターと民間企業それぞれの人と人とのつなぎをやっています。
 だから雑駁にいえば、今、自治体の職員や議員にどんどんQWSに来てください、視察でも勉強でもこの場所に来てあなたたちの自治体の課題について我々に気楽に話してくださいとお伝えしたいですね。
 
編集部 ここに来て、まちの課題を話してもらう、と。
★DSCN6495 ★DSCN6497

『SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)』の打ち合わせキット。付箋やモニターからはんだごて、レーザーカッター、3Dプリンター、UVプリンターまで常備。

小田 そうです。例えば、ある観光都市(A市とします)は、観光客はすごく来ているのに、インバウンドがうまくいっておらず、まちに直接お金が落ちていかないという現状で、加えて市内の公共施設の更新もうまくいっていないという話がこちらにありました。
 ここQWSには、イノベーション系、インバウンド系の事業をする企業や人も集まってくるんです。彼らと雑談の場で、そういえばA市は今こういう状況らしいよといった話をフランクにしたところ、その担当者が興味をもってくれて、「A市とつないでくれない?」ということになり、担当者を紹介したんです。その後、しばらくして話を聞いたところ、企業側でA市の公共施設をリノベーション(大規模改修)して、インバウンド向けのおしゃれな施設に生まれ変わらせるという話が進んでいるらしいんです。
 これ、通常であれば、自治体職員が色々なところを回って、お金を払ってプランニングしてもらってということで進めていく案件だと思うんですが、今回はこの場で私が世間話をしただけで東京から投資が入るということになった。これは分かりやすい事例ですが、要するにこの場所(QWS)に、人と課題に来てもらって、この場所で、それらを混ぜて、地域に投資をしてもらうところにつなげるということをしているんですよ。
 
編集部 とても新しい形ですね。自治体と民間が連携するのって、もっと格式ばって選定の手続きなど大変なイメージがありました。

(下編)は2020/3/25更新予定です!〔編集部〕

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