2020.03.10 政務活動費
第9回 政務活動費と説明責任
合目的性をしっかり語る
したがって、証憑書類が語ってくれない以上、政務活動費の「キモ」である合目的性については、支出した議員自身がしっかり語る必要(説明責任)があります。視察については行程や訪問地で得た知見などを示した報告書を作成して提出する、書籍については具体的な書名を伝票等に明記した上で領収書を添付する、といった具合です。その他、帳簿に記載するすべての取引について摘要の記載を必須とする、備品については品目や金額、設置場所などを台帳に記載して管理するなど、具体的な方法は支出の内容に応じていろいろ考えられるでしょう。
各議会の手引やマニュアルでは、収支報告に必要な書類やその記載項目なども定められています。これらは議会全体で定めたルールとして、法律や条例の趣旨に反しない限り、裁判所が適法性を判断する際の物差しにもなります。その意味で、適正な支出だと住民が納得できるようなルールを定めることは、「このように使えば政務活動費の目的に合致した適正な支出であると考える」という一般的な説明責任を果たすことにつながります。
政務活動費の使途について、各議員には、個別の支出における政務活動費としての合目的性を具体的に説明できるよう、準備をしておくことが求められるとともに、その蓄積を議会としてルール化すること、つまり手引やマニュアルの一層の充実に向けた不断の見直しを行うこともまた、住民に対する説明責任を果たすという観点から大切なことだといえるでしょう。