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2020.03.10 政務活動費

第9回 政務活動費と説明責任

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使途の範囲は線引き困難

 政務活動費は公金を原資とする補助金といわれていますから、これを正しく使うというのは当然のことです。各自治体は政務活動費の使途の範囲につき、条例や規則のほか、手引やマニュアルといった具体的なルールを定めます。また、議長は政務活動費の「使途の透明性の確保に努める」こととされています(法100条16項)。
 政務活動費の使途の範囲について、現在の制度となった平成24年の地方自治法改正案の国会審議では、「調査研究その他の活動」は議員としての活動であり、政党活動、選挙活動、後援会活動及び私人としての活動はこれに含まれないとしています。しかし、議員としての活動の範囲は自治体の事務の全般に及ぶ広いものですから、どうしても抽象的な定義になってしまいますし、各議会で条例や手引などでルールの具体化を図るにしても、やはり限界はあるでしょう。

ポイントは合目的性

 法100条14項によれば、政務活動費は「調査研究その他の活動に資するため」のものですから、使途の適合性の問題は、支出が実際に行われていること(実在性)を前提として(カラ出張や架空取引はこの点で論外です)、当該支出の目的が法100条14項の趣旨に適合しているかという点、すなわち「合目的性」の有無に帰着します。この合目的性を備えて初めて、当該支出は政務活動費の使途に適合しているといえるわけです。
 そうすると、政務活動費を充てる支出について、領収書などの証憑(しょうひょう)書類を添付することは当然必要ですが、それだけでは実は足りません。なぜなら、領収書は、作成者が名宛人から代金を受け取ったという事実、つまり支出の実在性を示すものであって、通常は当該支出の目的までは語ってくれないからです。
 例えば、先進自治体の視察の行程でホテルに宿泊した場合、領収書にはたいてい「○月×日ご宿泊代」などと書いてあります。この領収書だけでは、宿泊が「○○市視察のため」なのか、それとも単なる旅行なのかの区別がつきませんから、政務活動費としての合目的性を説明することはできません。政策研究のための本を買った場合の「書籍代」と書かれた領収書についても同様です。

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