2020.02.25 選挙
動画共有サービスと選挙運動/実務演習〈地方行政〉
3 有料インターネット広告について
有料インターネット広告について、法142条の6第1項では、何人も、選挙運動のための候補者の氏名若しくは政党等の名称又はこれらの類推事項を表示した有料インターネット広告を掲載することはできない(1)こととされており、同条2項では、(1)の禁止を免れる行為としてなされる、候補者の氏名若しくは政党等の名称又はこれらの類推事項を表示した、選挙運動期間中の有料インターネット広告を掲載することはできない(2)こととされている。また、同条3項では、候補者の氏名若しくは政党等の名称又はこれらの類推事項を表示していない広告であっても、選挙運動用ウェブサイト等に直接リンクした、選挙運動期間中の有料インターネット広告を掲載することはできない(3)こととされている。
ただし、政党等については、同条4項で、上記(2)や(3)にかかわらず、(1)に該当するものを除き、選挙運動期大畑宏之 内閣官房内閣人事局〈地方行政〉動画共有サービスと選挙運動1実務演習 21間中、当該政党等の選挙運動用ウェブサイト等に直接リンクした有料インターネット広告(有料バナー広告)の掲載が認められている。これは、インターネット選挙運動解禁(平成25年)以前も、政党等は、選挙運動期間中、政党等のウェブサイトに直接リンクを張った政治活動用有料バナー広告が認められていたことに鑑み、引き続き可能とされたものである。
なお、氏名の類推事項を表示したもの(氏名類推事項)は、氏又は名、職名、通称あるいは何某後援会等、周囲の状況から客観的にその氏名が類推されるような事項と解せられるが、具体的認定は個々の事実に即して行うよりほかない。
4 選挙運動に従事する者への報酬と買収罪について
選挙運動に従事する者のうち報酬を支払うことができるのは、選挙運動のために使用する事務員、専ら選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上における選挙運動のために使用する者(いわゆる「うぐいす嬢」など)、専ら手話通訳のために使用する者、専ら要約筆記のために使用する者について、事前に届出をした場合に限られている(法197条の2第2項及び第5項)。
また、選挙運動のために使用する労務者(選挙民に対し直接に投票を勧誘する行為又は自らの判断に基づいて積極的に投票を得又は得させるために直接、間接に必要、有利なことをするような行為、すなわち公職選挙法にいう選挙運動を行うことなく、専らそれ以外の労務に従事する者(最判昭和53年1月26日刑集32巻1号1頁))に対しては、選挙運動員と区別されることから、報酬を支払うことができる(公営掲示場へのポスター貼り等)。 これらの者以外の選挙運動員に対して報酬を支払った場合、法221条の買収罪の推定を受ける。