2020.01.27 議員提案条例
第4回 議論する議員提案条例②─既存条例の一部改正の手法とメリット─
3 首長提案の政策条例の見直しは議員提案がねらい目だ!
このように、首長提案の政策条例の場合、構造的に柔軟な見直しが難しい側面がある。その意味では、議員間の一定の了解があれば、手続や関係者間の調整を迅速に進めることができる議員提案条例での政策条例の一部改正は、住民から見てもメリットが大きい。
しかし、現状では、議員提案条例による一部改正条例は決して多くはない。例えば、2016年度から2017年度までの2年間の議員提案条例260件(都道府県68件、市町村192件)のうち、一部改正条例は55件(都道府県13件、市町村42件)であり(1)、議員提案条例全体の2割程度である。この中には、法律改正等に伴う、いわゆる所要の改正も含まれており、政策的な観点からの一部改正は、さらに少ないとみられる。
この背景としては、次の2点が考えられる。第1に首長提案の条例を、議員提案で改正することを躊躇(ちゅうちょ)してしまうことが考えられる。多くの自治体では、首長提案条例と議員提案条例では壁があり、相互に不可侵とする不文律があるように見られる。しかし、条例として両者の法的効果に区別はなく、制度上も、予算や組織に関するもの(2)など首長の専権事項と解されるものは議員提案条例では提案できないが、それ以外の事項については提案可能であり、当初、首長提案条例であったものも、議員提案で改正することは可能とされる。実際に国会では、当初は内閣提案の法律も議員提案で改正された例が見られる(3 )。したがって、地方議会であっても、首長提案の条例を議員提案により改正することは、特に問題はないのである。
第2に、議会側に、条例を一部改正するノウハウがいまだ十分に蓄積されていないことが挙げられる。条例の一部改正をするためには、まず現行の条例の内容を熟知し、それが今の社会に適合しているかどうかを見抜く力を議会側が有していることが必要である。その意味では、新規制定の場合と比較して、一層の政策法務のスキルが必要である。
では、既存の政策条例の一部改正を議員提案で行うためには、どのようなことが必要とされるのか。大きく二つの要素が必要である。それは、既存の政策条例の検証見直しと、実際に条例改正のプロセスとマネジメント・スキルを身につけることである。次節では、この2点について詳しく解説することとしたい。