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2020.01.10 予算・決算

第7回 決算案の審査

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法改正で不認定が変わる?

 このように、決算審査は議会の意思を示す場として大きな意味を持っています。加えて、平成29年の地方自治法改正では、新たに決算不認定の場合における地方公共団体の長から議会への報告規定が整備されました。すなわち、長は、決算の認定に関する議案が否決された場合において、当該議決を踏まえて「必要と認める措置」を講じたときは、速やかに、当該措置の内容を議会に報告するとともに、これを公表しなければならないものとされたのです(法233条7項)。この規定は平成30年4月1日から施行されており、すでに平成29年度決算において、議会の不認定を受けて長が「必要と認める措置」を公表した事例がいくつか出てきています。
 この改正は、長が行う「措置の内容の適否について議会での議論の俎上にのせることが可能になるなど、決算審議を通じて議会の監視機能がより適切に発揮され、議会と長との関係が活性化されることを期待しているもの」とされています(第193回国会平成29年5月16日衆議院総務委員会での政府参考人答弁)。この趣旨は、先ほどの「認定+附帯決議」の「黄金の方程式」に通じるものと理解してよいでしょう。つまり、決算審査は、認定・不認定いずれの結論であっても、議会が1年間の実績を網羅的に分析・評価した上で、長の政策や行政運営に対して能動的に「物申す」ことができる場となったのです。
 では、改正法施行後に議会が決算(一般会計)を不認定としたケースを見てみましょう。議会が決算を不認定とした理由に共通するのは、不適正な事務執行を指摘するもので、職員による不祥事の多発、所定の金額とは異なる報酬等の支払、補助金交付における漫然とした審査手続、請負工事の進捗管理や協議記録の不備、安易な予算の流用、事務の引き継ぎ漏れなど、その内容は様々です。このほか、新規事業の実施における過度な財政負担、事業執行と住民ニーズとの乖離(かいり)、計画変更等に関する議会への説明不足を理由に挙げる例も見られます。
 こうした議会からの指摘に対し、長は「必要と認める措置」を講じて議会に報告し、住民に公表しています。不適正な事務執行について調査や検証を行い、再発を防止するためとして、事務処理に係る法令遵守や報告・記録作成の徹底を求める職員研修の実施、支払処理における複数段階でのチェック体制の構築や事務マニュアルの整備、決裁における専決事項の厳格化など事務処理要領の見直し、あるいは、方針を決定するプロセスの明確化や議会への説明責任を果たすことなど、議会からの指摘を真摯に受け止め、具体的な改善策を示しています。
 改正法の施行前、平成28年度一般会計決算を不認定とした自治体は11市7町村でした(総務省・地方自治月報59号による)。改正法の施行を受けてこの数字が増えていくのか、職員としても注目したいところです。

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