2020.01.10 予算・決算
第7回 決算案の審査
数字は動かないけれど……
議会に提出される決算案は収支の実績ですから、議会がこれを認定しなかったとしても、その効力に影響は生じません。ただ、決算審査で議会から「合格点」をもらえなかったとなれば、その決算は自治体全体としての意思までには至らなかったということですから、長にとって少なからず痛手となることは否めません。
また、議会が決算を認定する場合でも、100点には程遠い「合格ライン」ぎりぎりということもあるでしょう。議会としては、審査の過程で事務処理上のミスや手違いなどが明らかになれば、ひとまず合格点はつけるとしても、「今後のためにひとこと言っておく」として、決算に対して附帯決議を付することができます。
附帯決議については前回に触れましたが、決算の認定は附帯決議がつく代表的な事案といえます。というのも、前述のように、決算は過去の実績である以上、これを不認定としてもその効力には影響は生じない一方、附帯決議は可決(認定)の場合にのみ付することができるからです。しかも、決算案には監査委員の意見や参考のための書類が付されていますから、議会は監査委員の指摘なども踏まえて審査を行い、場合によっては疑問点をさらに深く掘り下げることが比較的容易にできます。その結果として議会から附帯決議で留意点が示されれば、長は次年度の予算編成でこれを加味せざるを得なくなるはずです。決算審査における「認定+附帯決議」は、議会の行政監視機能という観点からすれば、まさに「黄金の方程式」といってもいいでしょう。