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2019.12.25 議員提案条例

第3回 議論する議員提案条例① ─地域課題に根差したニッチ型議員提案条例と地域の機運醸成─

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3 政策としてのイシュー(課題)化、ムーブメント(運動)化の必要性

 次に、上記のような方法などで把握した立法事実を、そのままにせず、地域の政策として取り組むべき課題に深めていくことが必要である。これは、もともと地域には様々な課題が存在するわけであり、その解決方法をやみくもに議員提案条例とするのではなく、他の議員とも議論し、他の方法がないのか、他の課題と比較して緊急に取り組む必要があるのかなどを検討し、地域社会の反応を確かめながら、政策的な課題として取り上げる、いわば「イシュー(課題)化」し、地域社会に流れをつくり出すよう「ムーブメント(運動)化」していくことが必要である。
 通常、このようなイシュー化やムーブメント化は、首長部局の場合、突発的な課題対応を除くと、総合計画をはじめとする様々な行政計画の立案、次年度の予算編成作業のプロセスなどを通じて、課題の優先順位付けがなされ、新しい政策課題は、計画案や予算案の「目玉政策」の形で公表されてマスコミ等にも取り上げられる。当然、地域住民にも地域の優先的なイシュー(課題)として認知される。その中で条例化になじむ課題は立法化のプロセスと並行して、首長が記者会見や議会の施政方針演説などの対外的な場を通じて雰囲気を盛り上げるムーブメント化が進められていく。
 しかし、議会の場合は、このイシュー化やムーブメント化の公式的なプロセスがあるわけではない。いきなり条例化しても唐突感が出てしまうこともある。前述の乾杯条例や、多くの自治体議会で制定が行われている「議会基本条例」の条例化のプロセスなどでも、なぜ条例化が必要なのか地域住民の理解が十分に進まないうちに立案され、いつの間にか条例ができている場合が見受けられる。もちろん、緊急性が高く、粛々と条例化していくことが求められる場合もあろうが、条例として必要に応じて住民の権利義務に関わる規定が盛り込まれる場合もある。その意味では、様々なチャンネルでイシュー化を図り、その後、住民を巻き込みながら議論する流れをつくりムーブメント化していくことが重要である。
 議会提案条例に限らず、議会発の政策が首長部局発の政策と比較して、住民の認知度が高くないのは、このイシュー化からムーブメント化のプロセスが弱いためではないかと、筆者は考えている。本来、政治家である議員は、地域課題をクローズアップさせ、支持者を巻き込むイシュー化やムーブメント化は得意分野であるはずであるが、議会や会派での取組みとなると、必ずしも十分ではないように思われる。

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