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2019.12.25 議員提案条例

第3回 議論する議員提案条例① ─地域課題に根差したニッチ型議員提案条例と地域の機運醸成─

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関東学院大学法学部地域創生学科教授 津軽石昭彦

1 ニッチ産業としての議員とチーム議会

 我が国の地方自治では、二元代表制をとっており、前回述べたように住民の代表としての立場は、議員も首長も対等である。しかし、実質的に首長は、多くの職員を部下として抱え、予算の編成・執行、法律上の行政処分等の権限を有し、地域経営の多くの部分を担っており、政策形成に必要な「モノ」、「カネ」、「ヒト」、「ジョウホウ」において、議員との比較では圧倒的に優位な立場にある。 
 そのような状況の中で、二元代表制のメリットを住民に享受してもらうためには、首長とは違った観点の政策の選択肢を住民に対して提示することが重要である。そのためには、首長部局と同じ発想で政策形成をするのではなく、あくまでもニッチ産業の発想でいくことが肝要であろう。 
 ニッチとは、本来は「すきま」を指し、広辞苑では、産業用語として「市場や産業で他社が進出していない分野」を意味するとされている。ニッチ産業とは、「大企業が対応できない限られた領域において、独自の高度な技術・知識や常識にとらわれない柔軟さを持ち、高収益を上げる産業分野」ということができる。 
 つまり、ここで大企業を首長部局に、ニッチ産業分野の中小企業を議員に例えると、「議員は、極めて限定的な領域ではあるが、首長部局ではなかなか発想できないような分野や中身の政策を住民に提示することにより、さらなる住民満足の向上につながる」ということである。企業の世界でも、今は大企業となっている会社も、もとは小さな会社で、柔軟な発想によりそれまでは世の中になかったヒット製品を生み出し、成長を遂げた企業が多くある。つまり、どんな企業もニッチから始まったということである。 
 地方議会でも、一人ひとりの議員がニッチの分野で、優れた政策を形成しながら、議会全体が「ワン・チーム」になれば、広範な分野の政策を住民に提示することができる。各議員が政治的な主張とは別に、それぞれ専門的な分野を持ちながら互いに切磋琢磨(せっさたくま)する「チーム議会」として活動することができれば、大きなチカラになるに違いない。

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