2019.12.10 一般質問
第47回 議会だよりで一般質問をどう扱うべきか
議会事務局実務研究会 吉田利宏
お悩み(華ある委員長 50代 市議会議員)
広報広聴委員会の委員長をしています。議会だよりの改革が議会で議論となっていますが、一般質問に関する記事を縮小してはどうかという主張がある会派から出て、びっくりしています。一般質問は議会の華でもあり、その記事は議員の見識を伝える大事な場所です。丁寧に伝えるという意見があっても、縮小するというのはもってのほかと思いますが、私の考えは間違っているでしょうか。
回答案
A 議会に関する情報を伝えるツールは議会だよりだけではない。他のツールとの関係で議会だよりが果たす役割を踏まえて縮小ということもありえる。
B 一般質問には議会においてたくさんの時間が費やされている。議会だよりで大きな割合が割かれることは当然のことである。
C 一般質問は、次の選挙に向けて議員の関心事や考え方を示し、市政の問題点を明らかにするものであるから、それを詳しく伝えることこそが議会だよりの役割として求められている。縮小はもってのほかである。
お悩みへのアプローチ
どの議会でも一般質問は議会の華でしょう。議員からすれば、自らの見識を住民の前に明らかにする絶好のチャンスです。住民からしても、それぞれの議員の見識や関心事を知ることができますし、何より「そんなことが今、行政で問題となっているんだ!」と知ることができます。
面白いデータがあります。東京都の多摩地区にある二つの議会がちょうど同じ時期(平成28年9月)に議会だよりのアンケートを行いました。二つとは、多摩市議会とあきる野市議会です。多摩市議会のアンケートは、回収箱への投函と依頼によって行ったものでした。この場合には、議会に関心がある層が中心となってアンケートに応じたことが予想できます。一方、あきる野市議会のアンケートは、無作為抽出で選んだ市民に協力を求めたものでした。ところが、多摩市民が議会だよりで「読みたいところ」と答えたのも、あきる野市民が「読んでいる」と答えたのも、一番は「一般質問」だったのです(1)。
つまり、議員からして一番見てもらいたいことが一般質問であり、住民からしてみても一番知りたいことが一般質問であるというわけなのです。それなら、議会だよりの頁の多くが一般質問に割かれても何の問題もないということになります。「回答はCで決まり」となりそうです。
ところが、そうとはいえなのです。思い出してください。多くの議会が改革を通じて、「二元代表制の一翼を担う」存在となることを目指しています。議員はもちろん選挙で選ばれた住民の代表ですが、その議員の集まりというだけで議会が住民の代表となるわけではありません。それぞれの議員の見識が議会の中で高められ、議会として判断できてこそ、議会が住民の代表となります。議会が二元代表制の一翼を担うためにはそうならなければならないはずです。翻って、一般質問を考えてみましょう。一般質問は基本的には、一人ひとりの議員の問題提起であり、それに対する執行部側の返答であることを忘れてはなりません。だからこそ、一般質問をどう議会としての議論につなげていくべきかなどの改革が行われているわけです。
議会としての活動がない時代には、それぞれの議員の活動の集合体こそが議会の活動だったわけですから、一般質問がいろいろな意味で最優先されたことはもっともなことだったといえます。ところが現在では、これまでどおりに一般質問をとらえることはできないのです。
議会だよりに求められている役割も大きく変わりました。定例会が終わって2、3か月後に発行される議会だよりは、昭和の時代ならある程度の速報性があった情報誌でした。また、それがほぼ唯一の住民が手にする情報ツールでもありました。ところが、今や定例会後の2、3か月という時期は中途半端な時期といえます。また、情報ツールという点でも、ウェブサイト上で情報を提供する議会も多くなりましたので、唯一とはいえません。情報量でもウェブサイト上の情報にははるかに及ばないということができます。