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2019.11.11 コンプライアンス

第18回 災害時の活動と公職選挙法

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3 その他災害復興に向けた政治活動(Q1⑥、Q2⑤⑦関係)
 災害発生後、復興や今後の予防のために積極的な対策が行われます。その際には、地域の声や実情を拾い上げ、政策に反映させる力を持っている政治家の皆様の役割は極めて重大です。
 そのような政策反映に当たっての政治活動について考えてみましょう。

(1)情報の収集
 災害時の状況や影響について情報を集める方法として、メディアで公開された情報のほかにも実際に自身で現地を視察したり、被害に遭われた方々を訪問して話を伺うことなどがあります。
 このうち、被害に遭われた方々の自宅や事務所を訪問する際には、戸別訪問の禁止(法138条)や事前運動の禁止(法129条)に抵触しないよう注意する必要があります。
 いずれも選挙や選挙運動に関連することが要件ですので、純粋に被害状況のヒアリング目的であれば関係ありません。
 ただし、選挙の直前期などにおいては、どうしても併せて自身の政策を訴えたり、支援を求めたくなる場合もありますし、自らはそのつもりではなくとも、周囲から疑念を抱かれる可能性もありますから、慎重に行動しましょう。

(2)支援に向けた政策提言・報告
 災害に対し、どのように復興活動を行い、被害に対する補償や救済、今後の防災対策をどのように進めていくかについて主張しこれを実現していくことは、まさに議員としての政治活動の領域でもあります。
 こうした政策の主張方法は、他の政治活動と何ら異なるものではありません。
政治活動においては、これまで述べたような寄附の禁止や事前運動の禁止(法129条)等の規制があり、これを遵守する必要があります。

(3)設問の検討
Q1⑥ 国や自治体等への支援の働きかけ
 国や自治体に復興や被害回復のため支援を得られるよう働きかけることは、財産上の利益を選挙区内の者に対して与えたことになりませんので、「寄附」には当たりません。また、議員がそのように働きかけをすること自体は、通常の政治活動の一環といえます。
Q2⑤ 情報収集のための戸別訪問
 戸別訪問が禁止されるのは選挙に関して投票を得るため等の目的で行われる場合であり(法138条)、設問のようなBが純粋に事情を聞くために訪問することは禁止されません。しかし、選挙前などに上記目的を副次的に持ちつつヒアリング名目で戸別に訪問をする場合には、ヒアリングの目的があったとしても戸別訪問の禁止に抵触します。
Q2⑦ 政策の主張と施策批判
 BがY市の施策について批判し、また政策を論じることは、政治活動として自由に行うことができます。また、あるべき政策を投げかけ、インターネット上で議論することも問題ありません。しかし、提言内容が対立候補予定のCなど特定の人物への選挙での投票を呼びかけるような内容や選挙に関わる内容となった場合には、事前運動の禁止(法129条)に抵触する可能性があります。

まとめ

 災害はいつどのように起こるのか誰にも分かりません。ひとたび災害が起これば甚大な被害が発生します。地元に寄り添い、地元のために頑張っておられる皆様ができる限りの支援を行おうとするのは人情だと思います。
 そのような皆様の活動において、法律の観点からの留意事項として少しでも本稿が参考となれば幸いです。

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