2019.11.11 条例
自治体議会のための条例立法の基礎(2)
(2)個別行政法上のもの
個別行政法にも、条例事項とされている事項が数多くある。そのごく一部を紹介すると、以下のようなものがある。
① 地方税法3条(地方税の賦課徴収に関する規定)〔地方自治法223条が根拠、日本国憲法に由来する条例主義〕
② 国民健康保険法81条(保険料の賦課及び徴収等に関する事項)〔分担金等の条例主義〕
③ 介護保険法129条(保険料に関する事項)〔分担金等の条例主義〕
④ 地方公営企業法4条(地方公営企業の設置)〔公の施設の条例主義〕
⑤ 公営住宅法48条(公営住宅の管理に関する条例の制定)〔公の施設の条例主義、分担金等の条例主義〕
⑥ 道路法39条(道路占用料の額及び徴収方法)〔公の施設の条例主義、分担金等の条例主義〕
⑦ 都市公園法6条(都市公園の占用の許可)〔公の施設の条例主義〕
⑧ 下水道法20条(使用料の徴収)〔公の施設の条例主義、分担金等の条例主義〕
⑨ 社会教育法24条(公民館の設置)〔公の施設の条例主義〕
⑩ 図書館法10条(公立図書館の設置)〔公の施設の条例主義〕
個別行政法は、地方自治法の基盤の上にあるものであるから、これら個別行政法で条例事項とされるものは、地方自治法上の条例事項でもあるという関係になる。上記①から⑩までのそれぞれのところで〔 〕の括弧書きを付したように、それぞれ地方自治法上の条例主義の基盤の上にあるはずである。②及び③も、分担金等の条例主義の趣旨の上にあるものと理解されなければならない。①の地方税法の規定する条例主義については、同法の拠(よ)って立つ根拠が地方自治法223条にあると考えることができるし、さらに、その根底には、日本国憲法が地方自治を保障したことに直接由来していると理解することができる。
このように理解すれば、逆に、個別行政法に条例事項として規定されていないからといって条例で定めなくてもよいということには、必ずしもならない。この点は重要である。