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2019.11.11 予算・決算

第5回 予算の修正案

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予算の修正案の書き方

 では、予算の修正案の書き方を見てみましょう。
 先に述べたように、議会の議決の対象となる予算は総務省令所定の予算の調製の様式ですから、修正案もその部分について、原案に溶け込むように記述する必要があります。つまり、「第○条」の形をとる部分と、これに対応する「第○表」を一部改正する要領です。
無題

 上の例は、当初予算における歳入歳出予算のうち、歳出第8款第2項道路橋りょう費を1,000万円減額するのに合わせて、歳入第17款第2項基金繰入金を1,000万円減額して収支の均衡を図るものです。表は原案と同じ体裁で款・項及び金額を示しており、金額欄は原案の数字を抹消してその上に修正金額を記載しています(以上は全国町村議会議長会編『地方議会議事次第書・書式例〈第4次改訂版〉』(学陽書房、2014年)によるものですが、法制執務の手法にのっとった別の書き方もあります)。減額の対象となる具体的な事業名や基金名などは「目」以下を示す歳入歳出予算事項別明細書に書かれていますから、当該部分を修正した明細書を作成し、説明資料として修正案に添付します。
 なお、補正予算を修正する場合、「第○表」の部分の項目は、款・項のほか、補正前の額、補正額、計となるのが一般ですが、要領は当初予算の場合と同じです。

予算の組み替え動議

 予算の修正案とは別に、予算案に対して修正を加える方法として、予算の組み替え動議があります。
 予算の組み替え動議は、長に対し、議員が指摘した事項について、修正して再提出を求めるものです。一般の動議と同様に会議規則所定の人数の賛成で提出できるほか、議会側で修正作業を行う必要がないため、修正案の提出に比べて手続は簡単です。他方、組み替え動議は決議であるため、議会で可決されても法的拘束力がなく、長には議決どおり予算を組み替える義務はありません。
 長が組み替えに応じる保証がないならあまり意味がないのでは、と思った方もいるでしょう。では、仮に長が組み替えに応じなかったらどうなるでしょうか。組み替え動議が可決されたということは、議員の過半数は従前の予算案ではダメだと考えているわけですから、このままでは予算案は可決されない公算が高いといえます。つまり、組み替え動議に法的拘束力はないものの、長には事実上、組み替えに応じなければ予算案が通らないかもしれないというプレッシャーがかかるのです。
 ただ、長の側にも譲れない一線はあるでしょうし、議会側も、全部のまなければ予算案を否決するぞという「All or Nothing」の姿勢に固執しすぎてしまうと行政全体の停滞を招くおそれがありますから、どこまで組み替えるかについては、長と議会の間で調整が行われることになるでしょう。その意味では、先ほどの増額修正の場合と同様の形となるといえます。

(『自治体法務NAVI』「とっても身近な自治体法務シリーズ」2019.9.15号より転載)

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