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2019.09.10 選挙

第28回 新たな議会に適合する地方選挙制度(下)――「人格を持った議会」の作動のために――

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山梨学院大学大学院社会科学研究科長・法学部教授 江藤俊昭

Gikainokyoukasho_icon今回の論点:新たな議会を創造する地方選挙制度

 住民自治を進めるためには、住民が政治や行政に直接参加することがまずもって重要である。同時に、代表者を的確に選出しなければならない。その「的確」には正答はないが、選挙制度やリコール制度によって行うことになる。地方選挙については、選挙区、単記・連記、政党制等を対象とする選挙制度(狭義)と、選挙期間、選挙運動、マニフェスト、選挙公報等を対象とする選挙運動制度といった二つの意味での選挙制度の議論があるが、皆無とはいえないまでも、広がりはない。選挙運動制度については、時には議論され制度改革が行われている。しかし、国政の選挙運動制度改革に連動して、地方選挙運動制度が微調整されているにすぎない。首長(2007年)や議員(2019年、町村を除く)のマニフェスト(ビラ)配布の解禁などを想起するとよい(1)。
 本連載では、住民自治の中心的役割を占めている地方選挙制度(狭義)について考えることにしたい(2)。なお、煩雑さを避けるために、地方選挙制度(狭義)を単に地方選挙制度とする。その際、首長選挙ではなく議会議員選挙制度を主に対象にしている。
 まず、現行の地方選挙制度を概観しながら、なぜその改革が必要であるかを確認する。次に、地方選挙制度を考える視点を確立する。選挙制度は地方政府形態と密接に連動していることを理解したい。そして、最後に様々な問題を解決するための選挙制度改革を構想したい。
 なお、総務省においても地方選挙制度改革について研究会が設置され、報告書が提出されている(「地方議会・議員に関する研究会 報告書」2017年7月)。これをめぐる議論も行われ始めた。これらについての検討も行うことにしたい。
 今日の議会改革は、人格を持った議会を目指している。議会報告会の実施、議員間討議の重視などは、これをつくり出す要素である。ただし、本連載で議論しているように、現行の選挙制度はこの人格を持った議会の創造を侵食している。こうした問題意識のもとで選挙制度改革を構想する。
 ① 議会改革の動向と地方選挙制度改革の必要性
 ② 地方選挙制度改革を考える上での前提(以上、前回)
 ③ 地方選挙制度改革構想の前提とその視点
 ④ 地方選挙制度改革とそれを充実させる論点(以上、今回)
  【補論】 最近の地方選挙制度改革論、選挙運動制度改革、地方選挙における「統一」の意味、首長選挙の課題の検討(次回)

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