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2019.09.10 コンプライアンス

第17回 インターネット時代の情報発信(選挙時編)

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(3)有料インターネット広告
 【原則禁止】 
法142条の6は、原則として、
 ①  選挙運動のための公職の候補者名や政党その他の政治団体の名称又は類推事項を表示した有料広告(1項)
 ②  ①の規制を潜脱する公職の候補者名や政党その他の政治団体の名称又は類推事項を表示した有料広告(2項)
 ③  公職の候補者や政党その他の政治団体の名称又は類推事項を記載していない場合でも選挙運動用ウェブサイト等にリンクされた有料広告(3項)
を出すことを禁じています。
 ただし、以下の場合については例外的に有料インターネット広告を認めています。
 【例外的にできる主体】
・公職の候補者……×
・政党等……△
・その他の者……×
 【できること】
 確認団体は選挙運動期間中に、上記の②③に当たる有料インターネット広告、すなわち自己の選挙運動用ウェブサイト等へ直接リンクを張った有料バナー広告を出すことができます(法142条の6第4項)。
 「バナー広告」とは、インターネットのホームページ等でタイルや短冊のように画像やアニメーションが表示された広告で、その上でマウスをクリックすると設定したホームページなどにつながる(リンクする)ものです。
 【注意】
 このバナー広告には、確認団体である政党等の代表・支部長等として候補者の氏名や写真なども掲載できると考えられていますが、殊更に候補者の氏名や写真が大きいなど、バナー広告それ自体が「公職の候補者や確認団体の選挙運動のための文書図画」といえる場合には、【原則禁止】の①に当たるとして違反となる場合があります。
(4)無料インターネット広告
 【できる主体】
・公職の候補者……○
・政党等……○
・その他の者……○
 【できること】
 法は、無料で行う選挙運動用インターネット広告について特段の規制は設けていませんので、自由に行うことができます。
 【注意】
 公職の候補者や政党等が、選挙運動用インターネット広告につき、本来有料サービスであるものを無料で第三者に掲載してもらったような場合は、本来の料金分につき寄附を受けたことになりますので、収支報告書に記載しなければなりません。
 また、第三者が選挙区域内の公職の候補者等である場合には法199条の2の寄附の禁止、企業や労働組合その他の団体の場合には政治資金規正法21条1項の寄附の禁止に注意が必要です。
(5)その他
〈落選運動(法142条の5)〉
 落選運動とは、ある特定の候補者に当選を得させないことのみを目的とする活動をいいます。ある候補者に当選を得させないことで自ら又は支援する候補者を当選させようとする活動は、自ら又は支援候補者のための選挙運動になります。
 【できる主体】
・公職の候補者……○
・政党等……○
・その他の者……○
 公職の候補者や政党等が自ら積極的にライバルを落選させるためだけの活動をすることはあまりないかもしれませんが、法は主体に制限を設けていませんので、理論上、候補者自身や政党等もすることができます。
 【できること】
 ウェブサイト等及び電子メールを使用した文書図画の配布。
 【注意】
① 表示義務
 落選運動をする場合、ウェブサイト等には掲載した者の電子メールアドレスを、電子メールを送る場合には電子メールアドレス及び氏名又は名称を記載しなければなりません。
② 選挙運動との関係にも注意
 上記落選運動の定義から、電子メールで例えば「●●候補を落選させて▲▲市政を継続させよう」などと呼びかけた場合、候補者▲▲の選挙運動となりますので、電子メールによる選挙運動の制限(法142条の4)の制限を受けることになります。特定の候補者を当選させようとする意図があればもちろん落選運動には当たりませんが、そうでない場合においても文書図画の文面には注意が必要です。 〈バーコードやQRコードの使用〉
 【できる主体】
・公職の候補者……○
・政党等……○
・その他の者……○
 【できること】
 スマートフォンなどでもホームページ等にアクセスできるよう、バーコードやQRコードを使用することができます。
 【注意】
①  バーコードやQRコードを記載・表示した場合、読み取り後に表示される事項(表示事項)が記載されているものとされます(法271条の6第1項)。したがって、選挙運動期間中に「その他の者」が、選挙運動用ウェブサイトのリンクアドレスを表示事項とするQRコードの画像を電子メールに張り付けて送信した場合、電子メールの文面・送信態様によっては法142条(文書図画の頒布制限)や法146条(禁止を免れる行為)違反となる場合があります。
②  上記表示事項に関する規定は、文書図画に記載しなければならないと法が定めている事項(法定記載事項)については適用されません(法271条の6第2項)。例えば、選挙運動用ビラに記載すべき頒布責任者及び印刷者の氏名・名称及び住所(法142条9項)等です。そのため、これら法定記載事項の記載の代わりにバーコード・QRコードを記載することはできないことになります。

まとめ

 インターネットは手軽で費用もかからず、電話やはがきなどに比べて圧倒的多数の者に対して情報発信を行うことができる大変便利な手段です。
 自己の政策を訴えかける政治活動での活用はもちろん、選挙運動においてもますます重要性が高まってくると思われます。
 記事で述べてきたように解禁といっても制限はありますが、うまく使いこなして選挙戦を有利に戦いましょう。

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