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2019.08.27 選挙

町議会議員選挙において当選人の不足があった場合には再選挙はいつ行われるのか/実務と理論

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4 設問の検討

 上記で述べた再選挙事由に応じて、以下のとおり場合分けして検討する。
(1) 選挙は全部有効であるが、当選人の不足が法定数を超える場合
 例えば選挙区がない町において、当該町議会議員の定数が12であるとした場合、当選人が10人ないし11人であるときは、当選人が不足しているが、当選人の不足数が
議員の定数の6分の1を超えていないため、再選挙は行われない。一方、当選人が9人以下であるときは、当選人の不足数が議員の定数の6分の1を超えるため、当該当選人の不足数について再選挙を行わなければならない。選挙区がある町においては、当該選挙区の定数において同様に考えることとなる。ただし、選挙の結果、当該町において当選人がすべていないときは、再選挙ではなく一般選挙(法116条)を行うこととなる。
 再選挙の期日については、原則としてこれを行うべき事由が生じた日、すなわち再選挙を行う原因となった選挙の期日から50日以内であるが、異議の申出期間、異議の申出に対する決定若しくは審査の申立てに対する裁決が確定しない間又は争訟係属等期間は、再選挙を行うことができない。また、法116条の規定による一般選挙は、法34条1項の規定により、これを行うべき事由が生じた日から50日以内に行うこととなる。
(2)選挙の全部又は一部が無効である場合
 上記で例示した町において、当選人が10人ないし11人である場合であっても、選挙の全部又は一部が無効となった結果として当選人が不足する場合には、再選挙を行うこととなる。ただし、選挙区がない町において選挙の全部が無効となった場合は、当選人がすべていなくなるため、法116条の一般選挙を行うこととなる。再選挙を行う場合、その時期については、選挙の無効は選挙争訟が前提となっていることから、選挙無効や当選無効の判決、裁決、決定のうち、最も遅い事由が生じた日から50日以内となる。
(3)他の選挙に便乗させて再選挙を行う場合
 上記で例示した町において、当選人が10人ないし11人である場合であっても、同じ町の他の選挙が、その区域で行われるときは、再選挙を行うべき事由が、当該他の選挙の期日の告示の前10日以内に生じたものである場合を除き、当該他の選挙と同日に再選挙を行わなければならない。選挙区がある町の場合は、当該選挙区において同様に考えることとなる。
 ただし、同日に行うこととされているのは、選挙を行うべき期日の一般原則を示すものであって、便乗される選挙について選挙期日が延期された場合において、便乗する再選挙の期日を同様に延期することはできないと考えられる。また、便乗される選挙が選挙会において無投票当選と決定した場合においても、便乗する再選挙はそのまま続行されなければならない。

5 おわりに

 以上、法の定める再選挙事由等の規定を解説した上で、町議会議員選挙において当選人の不足があった場合、どのような期日に再選挙が行われるかを検討した。再選挙については、選挙事務の中でも触れる機会が少ないと思われるが、本問が、各地方公共団体の担当部局における選挙制度の理解を深めるとともに、適切な事務遂行の一助となれば幸いである。 

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