地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

座談会 政策ビラ解禁をふりかえる

2019.07.25 文書図画

座談会 政策ビラ解禁をふりかえる(下)

LINEで送る

政策ビラの意義は有権者に伝わったか

田中 今回私は自身の選挙がなかったため、知人の選挙を応援に行ったり、お手伝いしたりするなかで、候補者の様子を客観的に見ることができました。全体的な印象としては、総じて皆さん活き活きと街頭演説をしていたように思います。政策ビラを配りながら政策を伝えられるというのは、やはり良いですね。

佐藤 街頭演説を聞いて下さる有権者のところにスタッフが寄っていって、「これです!」って政策ビラを渡すと、その場で会話が生まれます。街頭演説が終わった後にも、ビラを起点に話を続けることができます。今までだったらサラっと「演説してるな」で終わっていたような場面でも、今回からは政策ビラを渡せることで二重三重に強くマーキングできるようになった。
 「投票先を選ぶ際の判断材料として見てください」とお伝えして嫌がる人はいませんでした。政策を訴えて選挙をしたいという候補者にとって、政策ビラは大変有効だと思いますね。
 選挙期間中に政策ビラを配れるようになった意義をもっともっと有権者に伝えたいと思っています。先ほどの青木さんから紹介のあった調査でも、事前のビラもあわせて、有権者はいろいろな種類のツールをもらっているから、区別がついていないのではないでしょうか。
政策を訴えて選挙をしたいという候補者にとって、政策ビラは有効と語る佐藤氏

政策を訴えて選挙をしたいという候補者にとって、政策ビラは有効と語る佐藤氏

青木 そもそも有権者には、事前と選挙期間の違いが意識されてないようですしね。

佐藤 「今回の選挙から、選挙期間中にビラを配れるようになりました」とか、「これ1,000枚しかないんですよ」って言いながら有権者に渡すと、「そうなんですか!」って会話が生まれるとか、そういうやりとりは何回かしました。

川名 街頭演説しているときにも、「投票日はいつですか?」と聞かれるくらいだから、いつからいつまでが選挙期間中かなんて、有権者は気にしていないですよ。
 

最後に

青木 政策ビラは作る・作らないも候補者の自由ということではありますが、政策型選挙をもっと浸透させていくために、「ぜひ政策ビラを作って選挙に生かしてもらいたい」という想いがあります。最後に『議員NAVI』の読者に向けて、メッセージをお願いします。

川名 選挙運動の標準装備ツールの中に、政策ビラを加えることがようやくできました。今まで使えなかったということのほうがおかしいんじゃないかなと個人的には思っています。
ただ、まだ制度としては始まったばかりなので、その使い方には、有権者も候補者もちょっと戸惑い気味ではありますが、是非今後政策ビラを活かして活動をしていってほしいと思います。
是非今後政策ビラを活かして活動をしていってほしいと激励する川名氏

是非今後政策ビラを活かして活動をしていってほしいと激励する川名氏

黒川 枚数の制限があるのは仕方がないとは思いますが、せめて、見たいと思う有権者がいつでも見られるようにすることを、選挙管理委員会がやるべきだと思っています。
 選管や自治体のHPから、立候補届け出順でみんな見られるようにするとか選挙公報のページから政策ビラはこちらと誘導するくらいであれば、そんなに手間やお金もかからないことだと思いますので、今後、全国一律で標準装備すべきと考えます。
見たいと思う有権者がいつでも見られるようにすることを、選挙管理委員会がやるべきと指摘する黒川氏

ビラを見たいと思う有権者がいつでも見られるようにすることを、選挙管理委員会がやるべきと指摘する黒川氏

佐藤  まだ改善事項は色々とありますが、「有権者に関心を持ってもらえるツールとしては極めて有効」と確信を持って言えます。とくに現職の議員は、任期中に取り組んだことをしっかり書いて、期間中には有権者に「これを読んでください」と渡せるものができたことは大変素晴らしいことだと思います。
 「投票は今日もできますよ。一票を持たない子供たちのためにもぜひ」とか「政策を候補者間で比較しながら考えて投票してみてください」と伝えながら政策ビラを渡すことで、有権者に「いま、選挙をやっているんですね」って認識してもらえるという場面が何度もありました。新しいツールによって、もともとあまり選挙に行かなかった人を何人掘り起こせたか分かりませんが、過去の選挙ではなかったやりとりを今回の選挙では何度もしました。
過去の選挙になかったやりとりをしたと語る佐藤氏

ビラを介して有権者と過去の選挙にはなかったコミュニケーションができたと語る佐藤氏

黒川 佐藤さんと同じように、私も自分の政策ビラを配りながら、他の候補者のビラもぜひ受け取ってみてくださいって伝えていました。結果として、私に票を入れなかったとしても、政策ビラを渡すことが、有権者に「今、選挙をやっているんですよ、ぜひ投票に行ってくださいね」って伝えるきっかけになったかと思うと嬉しいですよね。

田中 本日皆さんのお話を聞くことができて、とても参考になりました。自分自身の選挙で活かしていきたいと思います。
 あとは町村議員選挙での解禁にどう取り組むべきか。区市部でやってみて良かったということを実感としても数値としても出し、町村議員選挙でもぜひ解禁するべきだとして運動を続けていかなければと思いました。
次の目標は、町村議員選挙での政策ビラ解禁ではないかとする田中氏

次の目標は、町村議員選挙での政策ビラ解禁ではないかとする田中氏

青木 私が外側から見ていた印象としては、あまり盛り上がっていなかったのかなと、そういう面もあったように思います。しかし、本日皆さんから、選挙期間中で有権者の関心が高い時期に、政策ビラを媒介として候補者との接点を作ることができ、それにより、有権者の投票の質をより高めることができる、そんなツールができたのだと改めて気づきました。選挙文化が良い方向に変わっていく可能性に満ちていると、改めて気づきました。
 次にお話できるときには、政策ビラがどう進化したか、をお聞きできるのを楽しみにしています。
選挙文化が良い方向に変わっていくきっかけとなれば、と語る青木氏

選挙文化が良い方向に変わっていくきっかけとなれば、と語る青木氏

この記事の(上)はこちら

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 424

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)始まる(平成19年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る