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座談会 政策ビラ解禁をふりかえる

2019.07.10 文書図画

座談会 政策ビラ解禁をふりかえる(上)

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選挙制度にはまだ課題も

田中 各地の話を聞いていますと、選管の事前説明が間違っていたというところもあったようです。例えば、政策ビラに「頒布責任者」と記載しなければいけないのですが、選挙ポスターと同じ表現の「掲示責任者」と入れればよいという説明をした選管があったようです。
 それから、政策ビラが配布できる時間は朝8時から夜20時までのはずなのですが、選管や候補者の理解が十分でなく、上記の時間以外での配布も実際にはあったようです。
新しい制度ですから、選管も候補者もまだ慣れてない部分が多く、水面下で違反をしてしまった人がいるかもしれないというのは、今後の課題だと思います。

川名 多摩地域のほうは、都心部に通勤する人が多いので、通勤時間のピークが早いんです。だから8時にはもう駅に誰もいないということもあります。そうなると、駅で配ってもしょうがないということになります。

佐藤 仰るとおりで、この時間帯の駅では配れないなと考え、朝と夜の駅の分はほとんど計算に入れませんでした。

黒川 政党の政策ビラは時間に関係なく配れるので、時間帯が早いときにはそちらを配って、8時が過ぎたら個人の政策ビラも一緒に配り始めるということをしていました。

青木 地域事情が異なる中で、公職選挙法での一律の規制は、本当にそれでいいのかという疑問が残りますね。人口に対する枚数設定にした方がいいのではという意見などもありますし。

川名 今回の選挙からは、政策で投票先を選ぶために政策ビラ配りましょうという趣旨なのに、配布が可能なのは朝8時以降というのはおかしいですよね。

青木 国政マニフェストが解禁されて20年、首長マニフェストが解禁されて12年ですが、常識が更新されないままで今の時代に合っていない印象もあります。

昔ながらの選挙戦が変わってきた?

黒川 個人演説会や選挙カーでの連呼といった、昔ながらの選挙戦が通用しなくなってきているとも思います。今回、私は政策ビラを全部手配りしようと決めて頑張りました。その意味でも、これまでの選挙と選挙のやり方を大きく変えました。どうしたら政策ビラを効率的に配れるかという考えで、私が自転車に乗って演説をしながらスタッフに配ってもらうとか、いろいろと工夫をしました。

青木 昔ながらのことが通用しなくなる」とご指摘頂きましたが、政策ビラの解禁は選挙文化が変わる一つのきっかけになりましたか。

黒川 コアな支持者以外にも、伝えたい情報を広げていくきっかけにはなっているんじゃないかな。仲間うちでも今回から活動の方法を変えたという人がいましたね。

佐藤 政策ビラはコミュニケーションツールという位置づけで私は使っています。地方議員選挙では有権者の半分の票を取る必要はないわけです。候補者が何十人も並ぶ中で、どのくらいの人に届けばいいのかと考えると、大体2%くらいの有権者に届けばいい。間口を広げて自分のことを知ってもらうツールとして使えると思います。期間中に、「この間もらいましたよ!」って言ってもらえることもあって…結構、有権者側にも印象に残っているようです。

 

政策ビラはコミュニケーションツールという佐藤氏

政策ビラはコミュニケーションツールという佐藤氏


川名 まだ渡したことがないはずなのに、「もうもらった」って言ってくる有権者もいるよね…。

黒川 過去3回の選挙でも、「ローカル・マニフェスト」という形で、金沢区の政策や自分自身の政策についてHPで発信してきましたが、選挙前には、それらを紙の形で配ることができましたが、選挙期間中になると突然配れなくなってしまいました。選挙期間中でも党のものは配れましたが、党内の誰もが同じものを配り続けるというもどかしさがあり、政策ビラが解禁された今回はそれが大きく解消された気がします。自民党議員の中でも差別化ができるようになったというのがかなり大きいですね。

(下)に続く

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