「4,000枚」をどう使うのか
青木 ここまで皆さんのお話を聞いて、キーワードとして見えてきたのは、「4,000枚という数字をどう考えるか」でしょうか。そのあたりを掘り下げていきたいと思います。
佐藤 私の場合は枚数や渡し方など様々な条件を検討していった結果、2種類としたという感じです。まず、4,000枚すべてを街頭で手渡すのは無理だろうというのが一つ。他方、全部新聞に折り込むというのも自分のスタイルに照らして、違うと思いました。
私は、選挙期間中に自転車でひたすら走って、まちを回ります。走っては止まって街頭(演説)、走っては街頭と、1週間で二百数十回近く街頭演説を行うことになります。ですからその時にどう渡し切るかということで逆算し、厳密にいえば1,100枚手渡し用のデザイン、2,900枚を折込用デザインで作成することとしました。
青木 ビラの使い方を詳細まで検討されて枚数設定をしたんですね。
佐藤 「まったく異なる体裁で2種類のビラを作ったのは佐藤さんだけでした」と後から選管から言われましたが、個人的には2つのビラを使う場面ごとに使い分けたのは面白かったですよ。
2,900枚の折込ビラは、選挙選が始まってすぐに専売所に持ち込みましたが、新聞休刊日の関係で、実際の配布は水曜日になりました。市内に7箇所ほどあるすべての専売所に持って行き、それぞれ700枚とか150枚とか、足すとちょうど予定していた数を折り込むことができました。
残りの1,100枚については何とか1週間で渡し切ろうと動いて、最後には100枚弱残りました。ですから、結果的に1,000枚くらいを手渡しすることができたと思われます。
大げさに言えば“今回の選挙は政策ビラに賭けた”くらいの使い方ができればいいなと選挙前は漠然と思っていたのですが、選挙戦に入ってからは、「これは本当に政策ビラを活かすしかない」と気づきました。私のような政策ビラの使い方をする陣営はほかになかったのです。辻々で街頭演説をしながら政策ビラ渡していくというスタイルで、どんどんビラがはけていきました。
川名 私は、枚数の読みに失敗したと思っています。というのは、金曜日の時点で政策ビラがすべて捌けてなくなってしまったんです。我が市の人口14万に対して4,000枚ですから、やはりどこでどう使うかという判断、枚数の読みをもっと事前に詰めておくべきした。
枚数の設定が難しかったと語る川名氏
青木 黒川さんはどうですか。政令指定都市のため、政策ビラは8,000枚とお伺いしましたが。横浜市金沢区は人口どのくらいですか?
黒川 人口は20万人くらいです。
青木 それを考えると、8,000枚といっても少ないように思えますね。
黒川 私は今回政策ビラを2種類作りました。横浜自民党のマニフェストをメインにしているもの、そして私個人のマニフェストをメインにしているものの2つで4,000枚ずつです。両方ともA4の2つ折りで作成しました。それぞれのビラだけで独立して読むこともできますし、2つを重ね合わせると全8ページの冊子としても読むことができるつくりになっています。
政策ビラはほぼ駅頭や街頭などで配りました。自転車で走っては演説をし、その間にスタッフが政策ビラを配り…そんな形で配ったところ、9日間の選挙戦の7日目で政策ビラは捌けてしまい、正直あとは大変でした。