2019.06.25 選挙
2月にA市→B市、3月にB市→A市と同一県内を転居した有権者は4月のA市長選挙・県知事選挙に投票できるか/実務と理論
3 同一都道府県内における住所移転があった場合について
法9条3項では、「日本国民たる年齢満十八年以上の者でその属する市町村を包括する都道府県の区域内の一の市町村の区域内に引き続き三箇月以上住所を有していたことがあり、かつ、その後も引き続き当該都道府県の区域内に住所を有するものは、前項に規定する住所に関する要件にかかわらず、当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有する」と規定されており、移動する前の市町村に3か月以上引き続いて居住し、当該市町村を包括する都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有していれば、都道府県内で何度住所を移転したとしても、当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を失わないこととされている。
また、同項の規定により、都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有する者が、従前住所を有していた現に選挙人名簿に登録されている市町村において当該都道府県の議会の議員又は長の選挙の投票をする場合には、選挙権を有する者であることを確認するために、投票所において選挙人名簿又はその抄本の対照を経る際、引き続き当該都道府県の区域内に住所を有することを証するに足りる文書を提示し、又は引き続き当該都道府県の区域内に住所を有することの確認を受けなければならない(法44条3項)。
この「引き続き当該都道府県の区域内に住所を有することの確認」について、具体的な方法は、投票管理者が市町村の選挙管理委員会を経由して住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を用いることで行わせるものである。
4 選挙人名簿の登録・抹消
ある選挙で投票をするためには、当該選挙の選挙権を有することに加え、選挙人名簿に登録される必要がある(法42条、43条)。
選挙人名簿の登録については、法21条1項において、当該市町村の区域内に住所を有する年齢満18年以上の日本国民で、その者に係る登録市町村等の住民票が作成された日から、また、他市町村から転入した場合には、住民基本台帳法22条の規定による転入の届出をした日から引き続き3か月以上当該市町村の住民基本台帳に登録されていることが必要であるとされている。
また、法27条1項では、市町村の選挙管理委員会が、選挙人名簿に登録されている者が名簿登録地市町村の区域内に住所を有しなくなったことを知った場合には、転出の事実に基づいて直ちに選挙人名簿に転出した旨を表示しなければならないとされている。そして、転出の表示をされた者が転出後4か月を経過するに至った時点で、市町村の選挙管理委員会は、法28条2号に基づき、直ちに選挙人名簿から該当者を抹消しなければならないとされている。
なお、選挙人名簿に名簿登録地市町村の区域内に住所を有しなくなった旨の表示がされている者が、再び当該市町村に転入したことにより、当該選挙人名簿から抹消される前に、引き続き3か月以上住民基本台帳に登録されている者に該当するに至った場合には、当該表示は消除されることとなる。