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2019.06.10 選挙

2019年統一地方選挙と増えた無投票当選

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 どうして、これが許容されるのかといえば、議員を選挙で選ぶ目的が議会を成立させることにあるからである。投票であろうが無投票であろうが、条例定数の議員数が確保できれば議会は成立する。
 もっとも、定数と立候補者数が同じでも、手間と経費がかかる選挙戦を行わせ、少なくとも法定得票数を獲得したかどうかを明らかにすべきではないかという意見はありうる。公職選挙法では、自治体議員の選挙における法定得票数は、有効投票総数を選挙区の議員定数で割った数の4分の1以上となっており、これに達していなければ落選となる。ただし、こうした一種の信任投票を行った結果、落選者が出て、それが欠員の発生につながり、補充選挙が必要になる可能性を考えておかなければならない。
 選挙が議会を成立させることを目的としていることを考えれば、無投票で代表者が決まるのもやむをえない便法であるといえるし、無投票当選だからといって、立候補者を責めるわけにいかない。
 しかし、これまで、定数より1人でも多ければ選挙にならざるをえないため、告示前の動静を見て、定数と立候補者数を一致させるような手控えや断念工作がひそかに行われる場合があるといわれてきた。選挙戦になることを回避しようとするのは、選挙は争いであり、地域にとってしこりが残る争いごとはよくないと考える発想が反映しているとみることもできる。しかし、この選挙戦を回避しようとする考え方が議員のなり手不足を招く一因になっていないかどうか考えてみる必要があるのではないか。立候補したい人が自由に出馬し、正々堂々と選挙戦を戦い、当落を決める、それが住民自治の姿のはずである。
 選挙戦回避が仕組まれるのではなく、地域住民の無関心、議員活動への低評価、職業としての議員の魅力のなさなどから議員のなり手が不足し、結果として無投票当選になる場合は、議会の成立自体が危ぶまれるという点でより深刻になる。前回書いたように、当選者数が6分の1のハードルを越えられず、再選挙となり、もしそれでも越えられず再再選挙ともなれば、議会の成立が遅れ、自治体運営に遅滞が予想され支障が出てくる。6分の1のハードルさえ越えられないということであれば、地域として、自治体としての存在理由が問われかねないことになる。

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