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2019.06.10 選挙

2019年統一地方選挙と増えた無投票当選

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 4月16日に告示された375の町村議会議員選挙では、4,233の定員に対して、4,775人が立候補したが、93の町村では定員を超える立候補者がなく、計988人が無投票当選となった。人口減少が進む町村で、議員のなり手不足が深刻化していることが浮き彫りになった。
 町村議会議員選挙では、8つの町村で、立候補者が定員に満たず定員割れとなった。定数割れしたのは、北海道興部町(定数10人─立候補者9人)、北海道厚真町(同11人─10人)、北海道中札内村(同8人─7人)、北海道浜中町(同12人─10人)、長野県辰野町(同14人─13人)、長野県山ノ内町(同14人─13人)、愛知県幸田町(同16人─15人)、熊本県津奈木町(同10人─9人)であった。
 浜中町は定数に2人不足していたが、欠員補充の再選挙は実施されずにすんだ。公職選挙法では、定数の6分の1を超える欠員が生じると再選挙になるが、8つの町は、これに該当せず、欠員のままでも議会は成立した。
 なぜ、無投票当選になったのかについては、各選挙区、各地域の事情や政治団体・政党の選挙戦略の違いもあり、個別分析が必要であるが、ここでは、前回(「定員割れによる再選挙─群馬県昭和村議会議員選挙」(2019年3月11日号))に引き続いて、この無投票当選自体について若干の考察を行いたい。
 議員定数は、各自治体が条例で議員定数を定め、その人数の議員を選挙で選べばよいのであるが、立候補者数が議員定数を上回らず無投票当選になることが問題とされる。日本国憲法93条には「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」とあり、自治体に議会を設置することは憲法要請となっている。したがって、現に、すべての自治体に議会が置かれている。「議会なんていらない」と、軽口をたたく人がいるが、正当な手続で選挙された一定数の議員からなる議会がなければ、それは自治体ではない。自治体にとって議会の成立は必須条件である。
 自治体議会は、基本的には4年ごとに行われる一般選挙の結果によって再組織される。立候補者の数が、定数以上なら選挙戦の結果で当落が決まり、定数と同じなら無投票当選となる。自治体議員の選出は選挙によることになっているが、実際に投票になるのは立候補者が定数を上回る場合であり、それが期待される姿であると考えられている。
 しかし、もし立候補者数が定数を上回らない場合はどうするかを法的に決めておかなければ、議会が成立しないことになってしまう。そういう事態を回避するために、定数と立候補者数が同数なら立候補者全員を無投票当選とし、定数を下回っても欠員数が定数の6分の1以下であれば全員を無投票当選とすることによって議会を成立させることになっている。

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