2019.06.10 カテゴリー
第12回(最終回) 未完の自治体議会改革~自治体議会の現在・未来~
執行機関よりも議事機関に多くの可能性を求めて
私が、議会事務局に初めて配属になったのが、ちょうど30年前の平成元年。この間の議会のあり方を振り返ると、議会運営改革、つまり内部の改革中心だったのが、平成18年5月の栗山町議会基本条例の制定を機に、議会報告会や意見交換会など住民と向き合う改革に移行しました。しかしながら、独任制機関である首長と違い、合議制機関である議会が「目に見える」形で変化を示していくのは容易ではありません。
行政側の市民参加は、いろいろな手法が取り入れられていますが、結局のところ、政策決定するのは首長一人です。一方、多様な意見を映し出す自治体議会には、その能力を遺憾なく発揮するならば、多くの住民の意見を、住民の見ている公開の場で合意形成していく長所があります。現に、私が訪れた北海道内の栗山町、福島町、芽室町、浦幌町、登別市、旭川市、道外では犬山市、それ以外でも多くの自治体議会において、住民福祉の向上、住民生活の改善に貢献する取組みが進められています。
これからの人口減少社会、自治体財政の厳しい状況を踏まえると、すべての住民を包摂するような合意形成を追求する自治体議会の役割が、地域にとって大きくなります。それに併せて、議会事務局職員の活躍の場も今まで以上に広がり、議会への支援力も高まるのです。
(1) 全国町村議会議長会「第64回町村議会実態調査結果の概要」2019 年2月。
(2) 全国町村議会議長会・前掲注(1)。
(『自治体法務NAVI』「とっても身近な自治体法務シリーズ」2019.4.15号より転載)